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OktaがSalesforce.comと業務提携、「Okta Identity Cloud」と「Work.com」をインテグレーション

 企業向けアイデンティティ管理のサービスプロバイダである米Oktaは7日(米国時間)、グローバルでCRMをリードする米Salesforce.comと業務提携し、企業やコミュニティによる従業員や顧客との信頼構築を支援するため、Oktaのアイデンティティ管理プラットフォーム「Okta Identity Cloud」とSalesforce.comの「Work.com」をインテグレーションすることを、オンラインイベント「Okta Showcase 2020」で発表した。

 この発表に先立ち、Salesforce.comとの業務提携に至る背景や狙い、製品統合の概要について、10月6日にオンライン説明会を開催した。

 今回の業務提携では、ニューノーマルにおいてビジネスの現場が直面する新しい課題に対応し、顧客の信頼感と復元力を構築するために、いかなるベンダーからも独立かつ中立なプラットフォーム「Okta Identity Cloud」と、世界中の企業や組織の再開を支援するソリューション「Work.com」をインテグレーションする。

 この製品統合により、人事、ワークプレース、IT部門のリーダーは、「Okta Identity Cloud」から迅速かつ安全に「Work.com」のシフト管理、コンタクトトレーシング(日本では未提供)、緊急時対応管理などの機能を利用し、場所を問わず、これらの機能に対するセキュリティと保護を提供できるようになるという。

 米Okta エグゼクティブバイスチェアマン 最高執行責任者(COO)兼 共同創業者のフレデリック・ケレスト氏は、業務提携の背景について、「当社は、すべての企業があらゆるテクノロジーを利用できるようにすることをビジョンに掲げ、業界唯一のクラウドベースのアイデンティティ管理プラットフォーム『Okta Identity Cloud』を展開している。同製品では、Okta Integration Networkを通じて、6500以上のアプリケーションとの事前統合を実現している。今回、コロナ禍により在宅勤務が進む中で、多くの企業が従業員の管理に悩んでいる現状を受け、この課題解決をサポートするべく、Salesforce.comと業務提携し、『Work.com』とのインテグレーションを行うこととした」と述べた。

米Okta エグゼクティブバイスチェアマン 最高執行責任者(COO)兼 共同創業者のフレデリック・ケレスト氏

 「『Work.com』は、Salesforce.comが提供する新たなダッシュボードであり、ニューノーマルに対応した安心・安全な職場づくりのためのさまざまな機能を備えている。今回のインテグレーションにより『Okta Identity Cloud』からシームレスに『Work.com』を展開可能になることで、アプリケーションの配布とインストールの促進に貢献できるとともに、セキュリティ強化にもつながると考えている。また、単一のダッシュボードからすべてのアプリケーションを管理でき、場所を問わず、それをあらゆるデバイスから利用可能となることは、エンドユーザーにとっては大きな利便性向上になる」(ケレスト氏)としている。

「Okta Identity Cloud」と「Work.com」のインテグレーション

 「Okta Identity Cloud」と「Work.com」の統合による具体的なメリットとしては、Salesforce.comのユーザー企業の従業員は、既存のアイデンティティプロバイダやActive Directoryなどの企業ディレクトリを活用し、ワンクリックで「Work.com」にログインすることが可能となる。例えば、委託先のディレクトリとのインテグレーションや、「Okta Universal Directory」にアイデンティティ情報を保存することで、顧客は外部の委託先にシームレスなアクセスを提供し、拡張するエンタープライズにおいて生産性の向上を図ることができる。

 IT管理者は、「Okta Lifecycle Management」を用いることで、Workdayなどの人事システムから「Work.com」にデータを同期させ、自動的に「Work.com」にユーザーを登録することができるようになる。これにより、IT部門の負担を軽減しながら、組織が迅速かつ安全に「Work.com」を使用することが可能となる。

 また、「Okta Workflows」の利用により自動プロビジョニングをさらに一歩進め、IT管理者は、特定の役割を担うユーザーを「Salesforce Permission Set Groups」に割り当て、それらのユーザーが「Work.com」内でアクセスできるタスクや履歴を細かく制御・管理することができる。

 さらに、セキュリティの強化として、IT管理者はユーザーのプロビジョニングとデプロビジョニングを簡単に行い、詳細な権限の制御が可能となる。例えば、「Work.com」の機密データにアクセスする可能性のある特定のユーザーまたはグループには多要素認証を用いてセキュリティを維持し、組織を守ることができる。

 Salesforce.comとの業務提携の将来展望について、ケレスト氏は、「当社とSalesforce.comは、従業員体験の創出におけるリーダーであると自負している。Salesforce.comでは、今後もアプリケーションとデータの提供を通じて、従業員の生産性を高めていく。一方、当社では、従業員の安全性を確保しながら、適切なアプリケーションを適切なタイミングで提供できるよう支援していく。そして両社の協調により、従業員や請負業者などのエンドユーザーに向けて、アプリケーションやデータへのより安全なアクセスやエクスペリエンスを提供する。また、IT管理者に向けては、さらに自動化を進め、より良い従業員体験の実現に貢献していく」との考えを示した。