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米Okta、日本法人を設立し国内アイデンティティ管理市場に本格参入
日本市場でのパートナー戦略や製品戦略を発表
2020年9月3日 11:32
企業向けアイデンティティ管理の独立系プロバイダーである米Oktaは2日、グローバル展開の一環として、日本法人「Okta Japan株式会社」を設立し、代表取締役社長に渡邉崇氏が就任したと発表した。
同日に行われたオンライン記者発表会では、日本法人を設立する背景や狙い、日本市場での今後の戦略などを説明した。
発表会にあたり、米Okta CEO兼共同創業者のトッド・マッキンノン氏が、グローバルでのビジネスビジョンについて、「当社は、すべての企業が、すべてのテクノロジーを利用できるようにすることを目指している。そして、企業が簡単かつ安全にテクノロジーを選択することを実現するためには、中立性を持ったアイデンティティ管理が必要であると考えている。特に現代企業は、『境目のないゼロトラストセキュリティの実現』、『クラウドテクノロジーへのシフト』、『デジタルトランスフォーメーションの推進』という3つのトレンドにより、アイデンティティ管理の重要性がさらに高まっている。その中で、当社の提供するアイデンティティ管理プラットフォーム『Okta Identity Cloud』は、柔軟性と拡張性に優れた特徴を持っており、企業はニーズに合わせて適切なテクノロジーを適切なタイミングで導入することができる」と述べた。
日本市場に向けては、「日本は、クラウドの幅広い旅を始めたばかりの市場だと考えている。クラウドの多くはビジネスを変革させる大きな可能性を秘めているが、そのためには、ハイブリッドな世界でテクノロジーにアクセスする必要が出てくる。これをサポートできる唯一のソリューションが、当社の『Okta Identity Cloud』だ。当社は、アイデンティティ管理を中心としたハイブリッドクラウドへの移行を実現するための強力なパートナーとして、日本企業にカスタマーファーストの価値を提供できるよう熱意を持って取り組んでいく。また、社会貢献事業を担う組織である『Okta For Good』の活動も日本で展開する。将来的には、日本チームのメンバーを増やし、当社の存在感を高め、着実にビジネス基盤を構築していく」と意欲を見せた。
そして、Okta Japanの代表取締役社長に就任した渡邉崇氏が、日本市場でのビジネス戦略を発表した。まず、日本におけるアイデンティティ管理・アクセス管理製品の導入状況について、「従業員が1000名から1万名以上の企業では、ERP製品の導入が進んでおり、その中の機能としてアイデンティティ管理が使われている。しかし、機能がバージョンアップされておらず、最新のクラウド環境やセキュリティに対応できていないという悩みを抱えている。一方で、100名から1万名規模の企業ではSaaSによる導入が進んでいるが、部門主導のため、企業全体のアイデンティティの統合ができていないケースが多い」と指摘する。
「Oktaは、グローバルのIDaaS(Identity-As-A-Service)市場で6年連続リーダーに選ばれており、ここで培ったアイデンティティ管理のノウハウや機能性、開発能力を日本市場にも展開できると自負している。しかし、日本企業がOktaのソリューションを選択する際に、国内にオフィスがない点が大きな懸念材料になっていた。そこで今回、日本法人を設立し、これを機に日本市場に本格的に参入する」と、日本法人を設立する背景を語った。
「日本法人の設立にあたっては、営業やSEだけでなく、ポストセールスも重要であると考え、すべて日本語でサポート対応できる体制を整備していく。この取り組みの一環として、200ページに及ぶ日本語のウェブサイトを立ち上げている。また7月に、全世界の地域のすべての顧客に対し、追加費用無しで99.99%のアップタイムを提供することを発表したが、この施策を日本市場でも展開していく」との考えを示した。
日本市場での販売戦略については、「日本では、企業のIT部門にシステムインテグレータが深く入り込んで、IT戦略までサポートしているケースが多い。この状況を踏まえて、日立ソリューションズ、NTTデータ、マクニカネットワークスの3社と販売パートナー契約を結び、日本での拡販展開を進めていく。現在、3社が持つ販売代理店にもパートナー契約を広げており、当社と共に日本語によるサポートを顧客に提供していける体制を構築していく」という。
製品戦略としては、「日本市場においても、Box Japan、Slack Japan、ZVC Japanをテクノロジーパートナーとし、『Okta Identity Cloud』と『Box』、『Slack』、『Zoom』を連携したベスト・オブ・ブリードのソリューションを提供する。また、『Okta Identity Cloud』では、Oktaインテグレーションネットワークとして、6500以上のアプリケーションやインフラストラクチャプロバイダーとの統合が用意されている。日本では現在、サイボウズがOktaインテグレーションネットワークのパートナーとなっているが、日本法人の設立を機に、このパートナー企業をさらに拡大していく」との方針を述べた。