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スケールアウトNASは「Isilon」から「PowerScale」へ――、Dell Technologiesがブランドを刷新

スモールスタート可能な新製品も発表

 Dell Technologies(EMCジャパン株式会社)は24日、スケールアウトNAS製品として展開してきた「Dell EMC Isilon」シリーズを、新たに「Dell EMC PowerScale」シリーズとしてブランドを刷新することを発表した。新ブランドのPowerScaleは、同社のサーバープラットフォーム「PowerEdge」上に、スケールアウトNASを組み合わせた形となる。

 同社は近年、ハイエンドストレージを「Dell EMC PowerMax」、ミッドレンジストレージを「Dell EMC PowerStore」、データ保護製品を「Dell EMC PowerProtect」とするなど、自社ポートフォリオを「Power」ブランドに統一する方針を進めてきた。今回発表したPowerScaleもこの流れの一環となる。

 Dell Technologies(EMCジャパン) 執行役員 UDS(アンストラクチャード データ ソリューション)事業本部 事業本部長の倉橋秀則氏は、国内におけるスケールアウトNAS関連事業について、「2019年度は対前年比36%増、2020年度は同39%増と、約2年で事業規模が2倍に拡大しており、国内で幅広く導入が進んだ。中でもオールフラッシュは2020年度の売上の28%を占め、高性能ストレージへのニーズが高まっている」と説明した。

Dell Technologies(EMCジャパン) 執行役員 UDS事業本部 事業本部長 倉橋秀則氏
国内のPowerScale事業

 新ブランドの発表と同時に、Dell TechnologiesではPowerScaleシリーズ新製品となる「PowerScale F200」および「PowerScale F600」も発表した。

 両製品ともにオールフラッシュで、F200は4ドライブを搭載したエントリーモデル。最小構成が11TBからで、スモールスタートが可能だ。一方、ハイパフォーマンスモデルのF600にはNVMeを搭載、最小構成は46TBからとなっている。ともにインラインデータ削減(IDR)機能を標準搭載し、データを圧縮してストレージの容量を高めることが可能だ。

 同シリーズの現行モデルでは、最小構成が100TBからとなっていた。そのため、スモールスタートしたい場合や部門サーバーとして利用したい場合には選択肢がなかったという。新製品は最小構成が11TBとなっていることから、比較的小規模のニーズにも応えられるとしており、「特に日本のNAS市場はミッドレンジがボリュームゾーンだ。今回の新製品で、幅広い顧客ニーズに対応できる」と倉橋氏はいう。

 従来のモデルも含め、PowerScaleファミリーには一貫して専用のOSとなる「PowerScale OneFS」が搭載されていることから、「既存モデルのユーザーがパフォーマンスを強化したい場合や、アーカイブ製品を追加したい場合なども、シームレスに拡張できる」(倉橋氏)としている。

PowerScale新製品
新しいPowerScaleファミリー
PowerScale F200
PowerScale F600

 Dell Technologies(EMCジャパン) UDS事業本部 SE部 部長の水戸匡茂氏は、非構造化データが増え続ける中、各企業はシステム環境、ワークロード、データという3分野のスケールアウトに対応する必要があるとし、「新製品はこうした課題にも対処できる」と説明する。

Dell Technologies(EMCジャパン) UDS事業本部 SE部 部長 水戸匡茂氏

 システム環境については、「PowerScaleはスケールアウト型アーキテクチャのため、小規模なシステムから開始し、必要に応じてシステムを稼働したまま性能が追加できる」と水戸氏。システムリソースの割り当ても自動化されているほか、複数のノードで障害が発生してもデータを失うことなく環境を維持できる耐障害性を備えているという。

 ワークロードについては、幅広いファイルプロトコルをサポートすることで、各企業のインフラのニーズにあわせた活用が可能だとする。OSの新バージョン「PowerScale OneFS 9.0」では新たにS3もサポートしたほか、5月には「OneFS for Google Cloud」も発表、これにより「PowerScaleをGoogle Cloudのマーケットプレイスからデプロイできるため、クラウド活用のハードルが下がり多様なワークロードに対応できるようになる」(水戸氏)とのこと。

 データに関しては、PowerScaleに無償でバンドルされるソフトウェア「Dell EMC DataIQ」により、さまざまなストレージのファイルやオブジェクトデータを統合して管理できるようになり、非構造化データからもビジネス価値を引き出せるという。また、インフラを監視し分析する「Dell EMC CloudIQ」も無償バンドルされており、容量や性能の傾向を予測、独自のアルゴリズムによる分析でリソースの低下や異常を検知するとした。

 今回発表した新製品は、本日より提供を開始する。価格はオープンで、パートナーを通じて個別見積もりとなる。

 倉橋氏は、2001年に創業したIsilonは2010年にEMC(現Dell Technologies)に買収され、その後9年間で事業が8倍にまで成長したと説明、「今後2年でさらに現在の1.5倍まで事業を成長させる」と、今後の目標を語った。

PowerScaleの事業目標