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デルとEMCジャパン、「Isilon」最新版を発表~IOPSが6倍、スループットが11倍に

 デル株式会社とEMCジャパン株式会社は21日、スケールアウトNAS「Dell EMC Isilon」の最新版を発表した。オールフラッシュモデルの場合、現行モデルと比べてIOPSが6倍、スループットが11倍、容量が2倍になるほか、新たなアーキテクチャの採用によりラック設置時のスペースを75%削減できるという。

新型Isilon

 Dell EMC APJ アンストラクチャードストレージ事業部 最高技術責任者のチャールズ・セヴィア氏は、「新世代Isilonのオールフラッシュモデル『F800』は、ノードあたり25万のIOPS、924TBの容量、15GB/sのスループットを実現している」と、新製品をアピールする。

Dell EMC APJ アンストラクチャードストレージ事業部 CTO チャールズ・セヴィア氏

 新型Isilonは、モジュラー型のシャーシを採用。SSDはもちろん、SAS/SATA HDDが選択可能で、ハイブリッドやアーカイブにも対応する。ストレージ部分は、4Uの筐体に72~924TBまで搭載可能で、1つのノードにつき5スレッド、各スレッドには3~6ドライブが搭載できる。スレッドとドライブはホットスワップが可能だ。

新型Isilonは、フラッシュ、ハイブリッド、アーカイブのすべてに対応する

 CPUにはIntel Xeon(Broadwell世代)を採用し、ノードあたりのキャッシュは最大6TB。ネットワークインターフェイスは、InfiniBand、10Gigabit Ethernet(GbE)、40GbEから選択可能となっている。

 セヴィア氏は、新型Isilonの特徴について、「モジュラー化されたコンポーネントを採用しているため、必要に応じて容量やパフォーマンスをアップグレードできるほか、メンテナンス性が高い」と説明する。

 「HDDに障害が起こっても、バックグラウンドプロセスが走り、故障したドライブのデータを自動的に保護するため、管理者が緊急対応する必要はない。予定通りのメンテナンスにて故障した部分を交換すれば、ディスクは自動認識される」(セヴィア氏)。

新型Isilonの特徴

 またセヴィア氏は、「IsilonがほかのNASベンダーと異なるのは、新旧プラットフォームの移行が簡単で、シームレスにつながること。今回発表した新プラットフォームも、現行モデルとスムーズに統合できる」と語る。

既存のIsilonとシームレスに統合できる

 このほか、ストレージ階層化機能の「Isilon SmartPools」を利用して自動的にデータを最適な階層に移行できることや、クラウドストレージと連携できるソフトウェア「Isilon CloudPools」を使い、Isilonからパブリッククラウドやプライベートクラウドへのデータ連携も可能だとしている。

 新製品でターゲットとする顧客についてセヴィア氏は、「まずは、ハイパフォーマンスが要求される新たなワークロードを持つ企業。また、既存のNASやストレージをアップグレードする際や、ストレージの統合、集約の際にも検討してもらいたい」と話す。

 「マイグレーションは容易で、一度移行すれば今後移行の必要はない。既存顧客は現行のクラスタに新たなクラスタを追加すればいいだけだ。オペレーションを維持しながら新たなシステムを利用できるようになる」(セヴィア氏)。

 なおセヴィア氏によると、オールフラッシュ製品は特にライフサイエンスやEDA、金融業界といった業界での需要が高いという。日本国内では、企業内でのファイルシェアやホームディレクトリでIsilonを利用するユーザーが多く、「このような顧客にはハイブリッドノードが向いているだろう」としている。

 EMCジャパン 執行役員 アイシロン事業本部長の倉橋秀則氏によると、Isilon事業の成長は堅調で、「2016年の出荷容量は3.2EB(エクサバイト)に達し、顧客数は世界で8000以上。新規顧客も対前年比17%増加した」という。

EMCジャパン 執行役員 アイシロン事業本部長 倉橋秀則氏
Isilon事業の状況

 また、Isilonブランドでオールフラッシュを展開する背景について倉橋氏は、「2020年にはフラッシュメモリとHDDの容量単価が均衡するとされる。単価が同じになると、企業データの80%を占めているとされる非構造化データもフラッシュメモリを利用するようになるだろう。今回発表した製品で、企業データのすべてをフラッシュメモリでカバーできるポートフォリオがそろった」としている。

 ストレージの利用形態としてはクラウドの普及も進んでいるが、倉橋氏は「パフォーマンスや大容量を求めるケースだと、クラウドでは割高になり、Isilonをオンプレミスで利用したいという要望が高い」と話す。

 一方、Isilon CloudPoolsを活用し、一部のデータはクラウドに置くソリューションも提供しているため、「クラウドベンダーと協業して提案するケースもある」としており、クラウドとのハイブリッドソリューションも引き続き提供していく考えを示した。