ニュース
コンカー、ビジネスキャッシュレス化推進へ「LINE Pay」と提携 QRコード決済とのデータ連携で経費精算を効率化
オンライン記者説明会レポート
2020年5月21日 11:37
株式会社コンカーは20日、ビジネスにおけるキャッシュレス化推進戦略の一環として、今年1月に発表した決済サービス「PayPay」との提携に続き、新たに決済サービス「LINE Pay」と提携することを発表した。同日に行われたオンライン発表会では、「ビジネスキャッシュレス構想」の概要および電子帳簿保存法新方針への対応について説明した。また、PayPayとLINE Pay各社がそれぞれのサービスとの連携内容を紹介した。
コンカーでは、ビジネスシーンでのキャッシュレスをさらに促進することでビジネスパーソンや企業に貢献するという考えのもと、これまでスマホ決済サービス「J-Coin Pay」を提供するみずほ銀行や、タクシー配車サービスを展開するDiDiモビリティジャパンなどと提携し、「ビジネスキャッシュレス構想」を進めている。
コンカー代表取締役社長の三村真宗氏は、「当社が実施したオンライン調査によると、経費の支払いについてはキャッシュレスの利用意向が強く、交通系ICカード、QRコード決済、法人カードの普及が拡大し、現金からの脱却が進んでいることがわかった。一方で、経費精算業務はアナログのままであり、毎月平均して約1時間もの時間が費やされている実情が明らかになった。アナログでの経費精算は、無駄な時間、無駄な管理、無駄な出社という3つの無駄を生じさせ、企業の生産性向上と働き方改革を阻害する要因になる」と指摘。「アナログの経費精算業務をなくすためには、ビジネスキャッシュレス、承認レス、AI不正検知の3つのステップが必要であると考えており、この取り組みの一つとして『ビジネスキャッシュレス構想』を推進している」と述べた。
ビジネスキャッシュレス構想の具現化に向けては、「デジタル決済データとの自動連携」と「税制の整備」の2つをポイントに挙げており、「当社では、ビジネスにおけるキャッシュレス化推進戦略として、さまざまな決済サービスとのデータ連携を進めている。現在、法人カード決済ではVISA、マスターカード、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブ、交通系ICカード決済ではSuicaとnimocaをカバーしている。そして今回、QRコード決済について、J-Coin Pay、PayPayに加えてLINE Payとのデータ連携を開始する。この他に、ビジネス複合機とのOCR連携ではキヤノン、リコー、ゼロックス、タクシー配車アプリではJapanTaxi、DiDiとのデータ連携を行っている」(三村氏)とした。
また、新たなICカード読み取り方式として、スマホ読取アプリ「Concur Tap to Expense」を今年秋ごろにリリースすることも発表した。従来、交通系ICカードからのデータ読み取りには据置型ICカードリーダー端末が必要だったが、このモバイルアプリを、iOS13以降を搭載したiPhoneで起動し交通系ICカードをかざすだけで、利用日・金額・乗降駅といったデータを読み取り、Concur Expense上での経費精算レポートの作成をサポートする。「これにより、据置型ICカードリーダー端末の購入・設置をすることなく、いつでもどこでも交通系ICカードのデータを取り込んで電車代、バス代、タクシー代などの精算申請が完了できるようになる」(三村氏)という。
税制の整備については、今年4月1日に内閣府から電子帳簿保存法における税制改正方針が発表され、電子明細が領収書の代替として認められることとなった。今年夏までに詳細なルールなどが発表され、10月に税制改正が施行される予定。これにより、キャッシュレス決済時に受領する利用明細データ(デジタル明細)があれば、経費精算業務で紙の領収書が不要になる。
コンカー 戦略事業推進室 室長の船越洋明氏は、「この税制改正に向けて、Concur Expenseと各種キャッシュレス決済とのデータ連携を急ピッチで進めている。コーポレートカードについては、国内ですでに多くのカードと連携しており、当社ユーザーの6割以上が利用している。また、交通系ICカード決済では、昨年、Suicaとnimocaとの直接データ連携について実証実験を実施し、現在有償サービス化に向けて開発を行っている。そしてQRコード決済は、PayPayとLINE Payとのデータ連携によって、スマホアプリやウェブ上での決済画面をデジタル明細として活用できるようにする」と説明した。
QRコード決済サービスのデータ連携の取り組みについて、PayPay 事業推進本部 事業開発部長の柳瀬将良氏は、「当社は、スマホ決済事業者として、日本の『決済』に革命を起こすことを目指しており、コンカーとの提携を通じて、ビジネスの領域でもキャッシュレスを推進していきたいと考えている。コンカーとのデータ連携サービスでは、従業員がPayPayでの支払いを経費申請すると、経理担当者が申請された決済データを確認し、PayPayに支払い依頼を行い、PayPayが従業員への支払いを代行するという仕組みを構築していく」と述べた。
また、LINE Pay 代表取締役社長CEOの長福久弘氏は、「当社では、企業から個人へ、LINE Payを介してスピーディーに送金・受け取りができるサービスとして『LINE Payかんたん送金』を提供している。今回のコンカーとの提携では、『LINE Payかんたん送金』サービスを活用して決済データの連携を行っていく。具体的には、従業員がLINE Payを利用して経費支払いをすると、利用情報がコンカーに自動連携され、LINE Payで精算代金の受け取りができる仕組みを目指している。まずは、今年6月ごろに精算代金の受け取り機能を提供し、年内をめどに経費精算機能にも対応していく」との計画を明らかにした。