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富士通、JAXAの新スーパーコンピュータシステムを受注

 富士通株式会社は22日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の新スーパーコンピュータシステムを受注したと発表した。システムは2020年10月より稼働予定。

 システムは、JAXAにおけるハイパフォーマンスコンピューティング(以下、HPC)の基盤として活用され、航空宇宙研究における国際競争力の強化に貢献していくと説明。また、新たに衛星観測における大規模データ解析基盤や、共同研究におけるAI計算処理基盤としてなど、幅広い利用が期待されるとしている。

 JAXAでは現在、富士通の「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」3240ノードで構成される計算システム「SORA-MA」や、大容量の記憶媒体によりさまざまなデータの保存や管理を行う「J-SPACE」などからなるスーパーコンピュータシステム「JSS2」を運用している。

導入する「PRIMEHPC FX1000」1ラック(384ノード)のイメージ

 JSS2の後継となる新たなシステムでは、大規模な数値シミュレーション向けの計算システムとして、富士通と理化学研究所が共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」の技術を活用した、富士通の「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000(以下、PRIMEHPC FX1000)」5760ノードを導入。シミュレーションに多用される倍精度(64ビット)での理論演算性能において、現行システムの約5.5倍となる19.4ペタフロップスを有する見込みとなる。

 また、大容量メモリやGPUを搭載するなど、さまざまな計算ニーズに対応可能な汎用システム部分として、富士通のPCサーバー「FUJITSU Server PRIMERGY」シリーズ合計465ノードを合わせて導入する。

 富士通では、汎用性の高いArmアーキテクチャを採用したCPU「A64FX」を搭載したスーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX1000」の導入により、幅広いソフトウェアが利用可能になるとともに、JAXAでの研究成果を世の中に広く活用してもらうことにも貢献すると説明。

 今回構築するシステムは、従来の数値シミュレーション分野で航空宇宙研究におけるさらなる国際競争力の強化に貢献するだけでなく、JAXAがこれまで部門ごとに管理・保持していた衛星の観測データなどを集約・分析する大規模データ解析基盤や、共同研究や設備供用におけるAIの計算処理基盤など、JAXAにおけるHPC基盤として幅広く活用が進められるとしている。

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