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富士通、「富岳」の技術を活用したスーパーコンピュータ「PRIMEHPC」シリーズ2機種を販売開始

 富士通株式会社は13日、スーパーコンピュータ「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC」シリーズにおいて、理化学研究所(以下、理研)と共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」の技術を活用した「PRIMEHPC FX1000(以下、FX1000)」および「PRIMEHPC FX700(以下、FX700)」の2機種をグローバルに販売開始した。出荷は2020年3月予定。

 FX1000とFX700は、世界で初めてArmv8-A命令セットアーキテクチャーをスーパーコンピュータ向けに拡張した「SVE(Scalable Vector Extension)」を採用したCPU「A64FX」を搭載する。富士通がこれまで培った高性能、省電力のCPU設計を継承し、開発した「A64FX」は、高い電力あたり性能を実現。高性能積層メモリであるHBM2の採用により、高いメモリバンド幅を実現するとともに、ディープラーニングなどで重要となる半精度演算および整数内積演算にも対応でき、AI分野への利用拡大も期待されるとしている。

 FX1000は、富岳と同じTofuインターコネクトDをサポートし、複数接続する際のスケーラビリティを最大限に発揮する。ラックあたり最大384ノードという高い実装密度により、最大1.3EFLOPS(エクサフロップス)を超える理論演算性能を実現する大規模システムを効率的に構築できる。冷却には水冷方式を採用し、高い性能と、冷却を含めた総エネルギー消費の抑制を指向したモデルとなる。

 FX700は、InfiniBandをインターコネクトとしてサポートし、HPCミドルウェアにオープンソースソフトウェア(OSS)を活用するなど、スーパーコンピュータシステムにおけるスタンダード技術をベースとしている。標準サーバーラックに搭載できる筐体、空冷方式の採用により、顧客にとっての導入しやすさを指向したモデルとなる。

 富士通は、Arm Developerや、Linaro、OpenHPCなどのオープンコミュニティに参画しており、同社のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)技術やノウハウをコミュニティ内に展開することで、Arm HPCのエコシステム発展に貢献していくと説明。また、世界で広く利用されている衝突解析アプリケーション「LS-DYNA」をはじめとするHPC分野の商用アプリケーションソフトウェアについても、各社と共同で順次整備していく予定としている。

 富士通では今後も、高性能なスーパーコンピュータの開発・提供を通じて、新薬の開発、防災・減災など安心安全な社会の実現、新素材開発やものづくりにおける試作レスの確立など、社会的課題の解決や最先端研究の推進、および企業競争力の強化などに貢献していくとしている。

FX1000
FX700