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顧客の近くでアプリ開発・販売を行う――、リコーが新パートナー制度を開始

 株式会社リコーは18日、リコー製のデバイス、ソリューションなどを活用し、中小企業がより効率よくビジネスを行う環境を整える「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES(EDW)パートナープログラム」を開始する。

 これまでは各地域会社の声を集約し、リコーがソリューション開発を行ってきた。これに対してEDWパートナープログラムでは、地域統括会社がパートナーと協業してソリューションを開発し、ユーザーに提供する。

 リコー 常務執行役員 プラットフォーム事業本部事業本部長 野水泰之氏は、「多様なニーズに迅速に、柔軟、適正に対応していくことが可能となる」と、そのメリットを説明した。

リコー 常務執行役員 プラットフォーム事業本部事業本部長 野水泰之氏

 なお第1弾として、リコージャパンが6月18日からパートナープログラムを実施。業務のIT化、自動化、省力化を実現する業種別に業務フローをとらえた製品・サービス・サポートを組み合わせた「スクラムパッケージ」を提供するとともに、アプリケーション開発が行える「EDWプラットフォーム」も用意する。コンポーネントを組み合わせてワークフローを作成するツールで、これを活用することにより、コンポーザブルなアプリケーションが可能になるという。

コンポーネントを組み合わせてワークフローを作成
コンポーネントの例

 デバイスも、新世代複合機「RICOH IM Cシリーズ」、360度カメラ「RICOH THETA」、電子黒板「RICOH Interactive Whiteboard」などのリコー製デバイスをはじめ、パートナーのデバイス、アプリケーションにも対応していく。

課題解決ができてこそ価値がある

 今回、新しいパートナープログラムを発足する狙いについてリコージャパン 代表取締役 社長執行役員 CEOの坂主智弘氏は次のように説明する。「中小企業の業務IT化、自動化、省力化へのお役立ちを実現するためには、プラットフォームができただけでは役に立たない。課題解決ができてこそ価値がある」。

リコージャパン 代表取締役 社長執行役員 CEOの坂主智弘氏

 すでに、働き方改革・セキュリティ・バックオフィスといった業種を問わないソリューションに加え、建設・運輸・不動産・観光・製造・医薬・福祉/介護の7業種向けには、業務全体のフローをとらえた製品・サービス・サポートを組み合わせた「スクラムパッケージ」を用意している。

 すでに104パックのラインアップがあり、課題解決件数は3万1000件に上るとのこと。さらに、販売パートナー485社がすでに存在しているという。

スクラムパッケージ
104のパックを用意している

 新たなパートナープログラムでは、開発パートナーがより顧客の声を反映したアプリケーションを開発し、それをシステムインテグレータ、ディストリビュータなどを通じて販売することにより、さらなる業務の自動化・省力化を実現。顧客の生産性革新につなげていくことが狙いとなっている。

 また、リコー製のデバイスやリコーが販売してきた業務アプリケーションに加え、他社製デバイス、アプリケーションなどとも連携することで、さらなる業務の効率化・省力化が実現するとのこと。

 記者会見では連携の例として、PFUのドキュメントスキャナ「N7100」との連携を紹介。宅配便の伝票や領収書、レシートなど紙の資料を読み込み、クラウドに保存し、デジタルデータを生かして活用することが可能になるとした。

 「プラットフォームとしてのEDWの最大の特徴は、用意されたコンポーネントを活用すれば、簡単にアプリケーション開発が可能になる点だ。また、これまでは、パートナーが開発したアプリがデバイスできちんと動くのかを動作検証する必要があり、工数がかかったが、動作検証が不要になるため、開発工数が大幅に小さくなる」(リコージャパン 執行役員 ICT事業本部副本部長の宮本好雄氏)。

 今後は、AI、IoTといった最新技術活用によるフロントエンド業務の自動化などにも対応していく。

リコージャパン 執行役員 ICT事業本部副本部長の宮本好雄氏

 パートナー会の参加料は無料。リコーでは、パートナー会を通じ、個々の開発あるいは共同開発のための情報交換、パートナー間の情報共有、事例発表会・展示会などの企画・実施、リコー/リコージャパンへの支援相談、各種プロモーションを行う。また、リコージャパンを中心とした販売チャネルの活用や、参加したパートナー同士の連携による新たなビジネス創出などが期待できるとしている。

パートナー会の活動概要

 開発パートナープログラムに関しては、技術的な問い合わせなどの運用サポートや、展示会などへの出展といったイベント支援、マーケティング支援を行うことから、年会費を10万円に設定した。コンポーネント開発SDK、ワークフロー作成ツール、開発・検証環境、開発ドキュメントなどを提供するとともに、開発相談会、技術情報提供なども予定している。

 パートナー企業にとっては、提供するアプリやデバイスの付加価値向上が見込めるほか、豊富なエッジデバイスを活用したソリューション構築が容易にできる環境が整うことになる。

開発パートナープログラムの概要

 なお、記者会見後に開催されたパートナー向けイベントには、300人近いパートナーが集まった。

 パートナー代表として大塚商会の大塚裕司社長が登壇し、「コピー機はPC以上に中小企業に普及し、現在でも国内だけで年間60万台近い台数が出荷されている。これをAI、クラウドとつないでいくことによって、中小企業の皆さんにとって役立つものとなるだろう。私自身は、もともとはPCからこのビジネスに入ったので、今回のパートナー制度はかつてのPC-98の販売店組織、やアプリケーションガイドを活用したソリューション提供を思い出した。これまで、リコーはクローズに、自分たちが作った製品による物売りを行ってきた印象があるが、今回のEDWでは、リコーにとっても、パートナーにとってもWIN-WINの関係となるものを作ったらどうか?と提案させてもらった」と、新制度への期待を述べた。