ニュース
チームでの働き方を力強いものにする――、Microsoft Teamsが目指す方向性
2019年6月18日 06:00
Microsoftの新たなコミュニケーション/コラボレーションツールである「Microsoft Teams」が2017年3月にリリースされてから、すでに2年を経過した。
全世界181カ国で50万人以上が利用しているというが、これは、これまでの同社製品のなかで最速の普及スピードとなっている。また、44の言語をサポート。フォーチュン100社のうち91社が採用し、1万人以上が利用している企業は150社に達しているという。
2019年春には新たな機能を追加しており、これによってコラボレーションツールとしての役割をさらに進化させた。こうしたTeamsの現状や新機能について、米Microsoft プロダクトマーケティングマネージャーのアヤ・タンゲ(Aya Tange)氏と、同シニアプロダクトマーケティングマネージャーのクリスチャン・シャハト(Christian Schacht)に聞いた。
チームの一体感を高め、より効率的で安全なコラボレーションを実現するツール
Microsoft Teamsは、チームの一体感を高め、より効率的で安全なコラボレーションを実現するツールと位置づけられている。
米Microsoftのタンゲ氏は、「いまの職場は、戦前世代からミレニアルに至るまで、5つの世代にわたる人たちが一緒に働いており、2020年には、72%の人が遠隔地からリモートで働くようになると予測されている。また、一人の社員が持っているテーマの数は2倍に増え、80%の時間をコラボレーションに費やしている。個人の成果よりも、チームの成果が求められているようになっており、それにあわせた働き方に変えていかなくてはならない。Microsoft Teamsは、チームで仕事をするためのツールであり、チームで仕事をするために必要なものがすべて集まっている」とする。
グループチャット環境やオンラインミーティング、エンタープライズクラスのセキュアなコミュニケーション環境、そして、Office 365アプリとのネイティブな統合といった特長を持つ。さらに、140種類のアプリケーションをアドオンで利用でき、AndroidやiOSの環境でも利用できることを強調。音声アプリなどとの連携といった拡張性や、医療分野や教育現場、工場などの幅広い環境で利用できるようにしているという。
そして、「Microsoft Teamsは、Microsoft 365を使ってもらうための入り口になる」ともする。
同社では、Microsoft Teamsを無償で提供したり、すでにOffice 365のライセンスを持っているユーザーに対して、Microsoft Teamsの具体的な活用提案をするといった活動にも取り組んでいる。
「使ってもらうことで、Microsoft Teamsの魅力が初めてわかってもらえる。さまざまなプログラムを用意したり、パートナーとの連携によって、まずは使ってもらうための活動にも力を注いでいる」という。
AIの活用にも力を注ぐ
一方、Microsoft Teamsでは、コラボレーションとコミュニケーションを強化し、チームでの働き方を力強いものにするため、AIの活用に力を注いでいることを示してみせる。
「これは、世代や国籍、性別などを超えた、働く人の多様性に対応することにも貢献できるものになる」(米Microsoftのタンゲ氏)と位置づける。
そのひとつが、AIを使った翻訳機能だ。
「さまざまな人が参加するチームでは、同じ言語で話す人だけにとどまらない。Microsoft Teamsでは、言語の壁をなくすことができ、多くの人たちとコラボレーションをすることができる」とする。
また、新たな仕事をする際に、必要とするスキルを持った社員を検索してくれる「Who Bot」では、Microsoft Graphの機能と連携。これまで会ったことがない社員の情報を表示し、さらに共通のつながりなども教えくれるため、円滑なコミュニケーションが取れるようになるという。
ビデオ会議機能の強化
ビデオ会議を行う際の機能も強化している。
音声のオンオフ、画像のオンオフなどを画面上で確認しやすくしたほか、空港やカフェ、家のなかで会議をする際にも、周りの音がうるさい場合には鮮明に音を拾い、音声認識機能を活用して、それを文字で表示することもできる。このライブ字幕機能は、参加者の耳が不自由な場合や、言語熟達度に差がある場合にも有効であり、多様性にも対応した機能になるともいえるだろう。
また参加者が、ほかのメンバーの発言を字幕でリアルタイムに確認できるため、あらゆる人が内容の理解を深めたり、議論への参加を容易にしたりすることにもつながるという。残念ながら、現時点でのライブ字幕機能は英語だけの対応だが、近いうちに、英語以外の言語にも対応することになる。
このほかビデオ会議では、自分が映っている背景をぼやかしたり、別の映像に差し替えたりといった使い方ができる。家の中などを見られたくない場合には有効な機能だ。
「自宅からビデオ会議に参加した場合に、カスタムの背景を選択することで、会社のロゴやオフィス環境などを自分の背景に表示できるようになる。気が散る要素を減らすことで、ビデオ会議の効率をアップさせることができる」という。
さらに、会議の映像データをチームで共有。出席できなかった社員は、これをあとから見て、確認することができる。ここでは、検索機能を使って、必要なところだけを検索し、視聴することができる。自分の名前が入ったところだけを検索すれば、短時間で、会議で話題になった自分に関する情報を確認できる。
ユニークな新機能のひとつが、Intelligent Capture機能だ。
アナログのホワイトボード上の情報を、カメラでキャプチャすると、そこに書かれた絵やテキストをフォーカスしたり、サイズを変更したり、加工を行ったりできる。ホワイトボードの前に人が立っていても、リモートの参加者はホワイトボードの絵やテキストを見ることができ、新たに書き込まれた内容もリアルタイムで確認できる。
さらに、Microsoft Whiteboard機能は、デジタル空間の無限のキャンバスを利用して、Teamsのなかで共同作業を行えるもので、さらに物理的なホワイトボードからWhiteboardのキャンバスにコンテンツを追加することも可能になっている。
先週の会議の内容を写真で撮影し、それをMicrosoft Whiteboardの機能によってデジタル情報として表示。接続している遠隔地からも、絵やテキストを書き込むことが可能になる。
セキュアなことも特長の1つ
米Microsoftのシャハト氏は、コラボレーションツールとしてのMicrosoft Teamsの強みを、「コラボレーションに関するすべての機能をひとつに集めていること」「Office 365以外のアプリをアドオンで利用できること」としたほか、「競合製品に比べて、セキュアであり、コンプライアンスへの対応がしっかりしていること」を挙げた。
特定のチャネルに関連づけられている会話/ファイルを閲覧できるチームメンバーを指定できるほか、Microsoft Teamsで相互にやり取りしたり、共同作業ができたりするユーザーを制限することも可能。また、チャットやチャネルの会話の中の機密情報を検出し、自動的に保護できる機能も提供している。
こうした機能によって、他社にはないコラボレーション環境を実現することをあらためて強調してみせ、「今後も、コラボレーションツールとしての進化を図っていく」と述べた。