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LPWAサプライヤーが共通して認識する「LPWA普及を阻害する3つの課題」
~IDC Japan調査
2019年1月16日 15:51
IDC Japan株式会社は15日、LPWA(Low Power Wide Area)市場におけるLPWAサプライヤーの取り組みに関して、調査結果を発表した。
低速、省電力、広域カバレッジという特徴を持つLPWAは、IoTデータを取得する上でのコスト面のハードルを下げ、IoTの普及を促進する技術と期待されており、2018年には、国内のMNO(Mobile Network Operator)をはじめ、主要なLPWAサプライヤーの通信規格のラインアップが顔をそろえた。しかしIDC Japanでは、LPWAの普及を図る上で、LPWAサプライヤーの多くが共通して認識する課題が明らかになったと指摘する。
その1つ目は、「高コストなLPWAデバイス」だ。市場では、LPWAの登場をきっかけにIoT案件が急拡大しているとは実感されておらず、チップ/通信モジュールなどのメーカーの量産投資も漸進的にならざるを得ないため、現状では、通信料金は安くてもデバイスの費用負担が大きいという。
また2つ目としては、「不透明なLPWA事業の収益性」を挙げた。LPWAが普及するためには、ユーザーが負担するコストの低下と並行して、LPWAサプライヤーの収益見通しの不確実性が一掃される必要がある。しかし、LPWAはネットワーク構築のための投資が少なくて済むものの、そのぶん、競合上の理由から回線料金を低く設定せざるを得ず、回線自体は薄利多売を志向することになってしまうと指摘。安定した事業運営のためには、回線事業だけに過度に依存しないビジネスモデルの確立が求められるとした。
さらに、「高まらないユーザー企業のIoTイニシアティブ成熟度」が、3つ目の課題として挙げられた。同社の調査では、IoTに限らず、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)全般にかかわる成熟度が海外と比べて総じて低いことから、ユーザーがIoTを実施する上でのハードルを下げる取り組みが求められるとしている。
なお現段階のLPWA市場について、LPWAサプライヤーの多くは、サプライヤー間の「競合」だけではなく「協調」が必要なフェーズにあるととらえているとのこと。先述した課題に対して、LPWAサプライヤーは競合領域と協調領域とを切り分け、協調領域においては共通の課題を解決する有効な施策、例えば先行事例コンテンツの共同デジタルマーケティングなどを協働して実施することが、ユーザー企業を含むLPWAエコシステム全体にとっての利益になると、IDC Japanではコメントしている。
さらに、ユーザーがIoTを実施する上でのハードルを下げるために、LPWAサプライヤーが、ユーザーコミュニティの形成やユーザー企業と開発企業のマッチングを積極的に行うべき段階にあるとも指摘した。