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NTTデータ、東京・三鷹に国内最大級のデータセンターを開設

AI活用に必要なサービスをワンストップで提供する「AI.Studio」も発表

 株式会社NTTデータは20日、東京都三鷹市に新たなデータセンター「三鷹データセンターEAST(以下、三鷹EAST)」を竣工させ、4月1日よりサービスを開始することを発表した。同日はオープニングセレモニーが開催され、メディア向けの内覧ツアーなども行われた。

 三鷹EASTはすでに開設されている同社の三鷹データセンターの隣地にあり、数年後に計画されている2期工事を合わせると、終局延べ床面積は約3万8000平方メートル(約5600ラック相当)の規模となる。

三鷹EAST正面写真(南東)。外側に向けて壁面が返ったようになっているのも、排熱効率のためであるという(提供:NTTデータ)

 この地域に新たなデータセンターを開設する理由として同社は、三鷹市が東京都心より約17kmという恵まれた立地にありながら、水害、地震等の災害リスクが極めて少ない地域であることを挙げている。

 さらに三鷹EASTは、免震構造、72時間連続運転可能な非常用発電機など強固なインフラ設備を設けることで、従来のデータセンターよりもディザスタリカバリ(DR、災害時のデータ復旧)やBCP(事業継続計画)への対応力を強化しているという。

 エネルギー効率にも非常に力を注いでおり、サーバーなどの機材冷却については壁吹空調方式・ホットアイルキャッピングを採用することで、従来方式(床吹方式)に比べて冷却効率が向上し、高熱負荷対応が可能になった。

 また、NTTデータとしては初の自然エネルギー(春・秋・冬季の外気)を活用した外気冷却方式を採用することで、電力使用効率(Power Usage Effectiveness:PUE)は1.3以下(年間平均・設計値)を目指す。

屋内にも屋外にも免震構造が見て取れる

 オープニングセレモニーであいさつに登壇したNTTデータ 代表取締役社長 岩本敏男氏は、「2018年はNTTデータが分離独立してから30年という節目の年」と述べ、記念すべき年に最新鋭のフラッグシップ データセンターとなる三鷹EASTが竣工したことを報告した。

NTTデータ 代表取締役社長 岩本敏男氏
オープニングセレモニーには、三鷹市長の清原慶子氏も参加した

 三鷹EASTはエンタープライズ向けの基幹系・情報系システム用途を想定したシングルデッキと、今後のAI・IoTを中心としたデジタルトランスフォーメーションの需要を想定したダブルデッキの2つから構成されている。

 なお、今回竣工したのはダブルデッキと、シングルデッキの半分(1期)のみで、今後需要を見ながら2期として残りのシングルデッキの工事を進めていく予定であるという。

 セキュリティは、24時間365日の警備員による有人監視、区画単位でのセキュリティ、ICカードおよび生体認証による入退室管理が行われる。また、区画単位でセキュリティレベルを強化でき、ユーザーの個別要件にも対応できる。

 三鷹EASTにオフィススペースは用意されていないが、搬入時などの一時的な作業用にステージングルームが用意されている。オフィススペースが必要な場合には既存棟を利用することになる。

 既存棟とは3階の渡り廊下で接続しているが、建物の外側から回り込むことはできない。なお、三鷹“EAST”という名称は、既存データセンターの敷地の東側に建設されたことに由来しているため、今後は既存棟を三鷹WESTと呼称することになる可能性が高いという。

三鷹EASTは、同社の既存データセンターに併設される形で建設されている

 NTTデータ 執行役員 ビジネスソリューション事業本部長 佐々木裕氏は、三鷹EASTを「デジタルビジネスの新しい拠点として、キャリアフリーな自由度の高いネットワークで、マルチクラウドへの接続環境を構築可能」と説明する。NTTグループであっても、ネットワークは完全にキャリアフリーであり、公平な立場にあるという。

 Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなど複数のパブリッククラウドと閉域網による接続が可能で、特にNTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud」については、構内接続が可能になっている。昨今のハイブリッドクラウドに対する要求にも柔軟に対応できるデータセンターであると言えるだろう。

NTTデータ 執行役員 ビジネスソリューション事業本部長 佐々木裕氏
キャリアフリー、マルチクラウド接続の環境を構築可能

 また、NTTデータは同日、企業のAI技術活用に必要なコンサルティング、システム開発、システムインフラなどのサービスをワンストップで提供するサービス「AI.Studio エイアイスタジオ(以下、AI.Studio)」を、4月より提供開始することも発表している。

 同社はこれまでもAI技術活用に関するサービスを提供してきたが、三鷹EASTの開設に合わせ、今後はAI.Studioブランドとして三鷹EASTのインフラを利用して提供していくという。佐々木氏は、AI.Studioについて「マルチデータソース」「マルチAIエンジン」「マルチクラウド」という3つのテーマを掲げ、「すでにAIは導入期に入っており、企業のAIインフラへの要求が高まっている」と述べた。

企業がAIを活用するためのサービスをワンストップで提供する「AI.Studio」
金融、テレコム・ユーティリティ、製造、流通分野での導入が先行している

 マルチデータソースとは、企業の基幹システムをはじめ、マーケティングのデータ、SNSのデータ、気象データ、地理データ等さまざまなデータソースを活用することであり、これらのデータをIBMのWatsonをはじめとするマルチエンジンで解析するという。

 佐々木氏は「我々はAIエンジンにはまったくこだわりがない。AIを活用する環境を提供し、企業のデータを活用してもらう」と説明した。さらに、「複数のクラウドが柔軟に利用できる環境が求められている」とマルチクラウドへの要求が高いことにも言及した。

AI.Studioのテーマは「マルチデータソース」「マルチAIエンジン」「マルチクラウド」

 AI.Studioのサービス構成は、(1)AI活用に向けた業務改革コンサルティングや新サービス創出に向けたビジネス検討・実証実験プランの策定、(2)AIソリューションと外部データを用いたシステムインテグレーション、(3)セキュアなシステムインフラをワンストップで提供するサービスで、AI活用の検討から実証実験、商用化までの一気通貫サポートだ。

現在は金融、テレコム・ユーティリティ、製造、流通分野での導入が先行しており、今後は基幹系システムのデータ活用を中心にサービスを展開していく予定であるという。