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NECとさくらインターネット、FIWAREを活用したスマートシティ・スマートビル向けデータ流通システムの実証実験を開始

 日本電気株式会社(以下、NEC)とさくらインターネット株式会社は5日、EUの次世代インターネット官民連携プログラム(FI-PPP)で開発・実装された基盤ソフトウェア「FIWARE」を活用したスマートシティ・スマートビル向けのデータ流通システムの共同実証実験を、2018年3月から福岡県福岡市で開始すると発表した。

 効率的な都市運営やビル利用を図るスマートシティ・スマートビルの実現に向けては、さまざまな分野・領域のデータ(交通、エネルギー、環境、観光、防災など)を、データ生成者だけでなく、複数のステークホルダー間で共有・利用するために、データを一括管理・運用し、利活用を促進するデータ流通の仕組みが必要となる。

 具体的には、データ流通市場を実現するシステムの構築手段、データを交換・流通させる際のオープンなAPIやデータモデルの規定、レスポンスタイムなどの要求される性能の想定、安全・安心かつ安定した運用の実現、実際の需給バランスの把握など、多数存在する不確定な要素がデータ利活用する上での課題となっているとして、こうした課題の解決に向けた実証実験を行う。

 実証実験では、欧州を中心にスマートシティを実現するシステムとして活用実績がある「FIWARE」を活用して、日本におけるスマートシティ・スマートビル向けのデータ流通システムを構築し、データを利用するステークホルダーのニーズ・課題抽出、環境構築・運用ノウハウなどを蓄積する。実験期間は2018年3月から1年間(予定)。

 さくらインターネットの提供する「さくらのクラウド」上に、NECがFIWAREに準拠したデータ流通環境を構築し、これを企業、団体、個人などの実証実験参加者に無償提供する。

 参加者は、登録データを利用することで、自社のビジネスなどに役立てると共に、データ流通におけるニーズ・課題等を抽出し、参加者間で共有する。課題などの取りまとめは、NECおよびさくらインターネットの組織内研究所であるさくらインターネット研究所が共同で行う。

 実証実験は福岡県福岡市・周辺を対象に開始する。開始にあたっては両社が開催する本データ流通環境の説明会を通じて、参加者を広く募っていく予定。また、参加者間での知見の共有を図る場も用意していく。

 データ流通環境を無償提供することにより、スタートアップやベンチャー企業、中小企業などの参加を促進し、地域ごとの課題やデータを利活用する際の共通課題の早期抽出が期待できると説明。また、参加者間によるノウハウの共有により、データ流通市場におけるエコシステムを構築し、新たな価値を創造するスマートアプリケーションの創出が期待できるとしている。

 今後は、実証実験を通じて得られたノウハウについて、NEC、さくらインターネット両社内へフィードバックするとともに、データ流通に関わる各業界団体へのフィードバックも併せて実施し、早期のデータ流通市場成立・活発化に寄与していくとしている。