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シスコと大林組、スマートビル向け「統合ネットワーク構築ガイドライン」を作成

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は23日、株式会社大林組と共同で、スマートビル向けの「統合ネットワーク構築ガイドライン」を作成したと発表した。

 スマートビルとは、高度な情報管理機能を備えた建築物のこと。さまざまなデバイスのIPネットワーク化やPoE電源供給量の増加により、アクセスポイントや監視カメラ、IoTセンサーなどがIPネットワークに接続されるだけでなく、空調や照明といったビル設備についても、イーサネット上でBACnetプロトコルを用いて管理されるようになっている。

 また、ロボットやAIなどを活用したスマートビル向けのサービスも活用されるようになってきているものの、ベンダーが個別にシステムを導入しているケースが一般的で、異なるサービス間の連携や竣工後のサービスの柔軟な拡張に課題を残しているとのこと。さらに、クラウドの活用により利便性が高まった反面、スマートビルは巧妙化するサイバー攻撃への対策が求められているという。

 シスコと大林組では、スマートビル向けの統合ネットワークを実現する上で、日本国内においては、ビル建築とICT双方に精通し、プロジェクトを推進していく体制が確立されていない点を指摘。あわせて、前述されたような課題を解決するためのガイドラインを共同で作成することによって、不動産価値向上に寄与し、信頼性の高い「統合ネットワーク」の実現を目指すとした。

 今回作成された「統合ネットワーク構築ガイドライン」は、そのための取り組みのひとつで、建築工事と一体的に統合ネットワークを構築することを前提に、シスコの持つネットワークやサイバーセキュリティに関するノウハウと、大林組の持つ建設プロジェクトマネージメントのノウハウを統合したもの。2019年12月経済産業書発行の「ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリテ対策ガイドライン第1版」に準拠するとともに、2018年7月内閣サイバーセキュリティセンター発行の「政府機関等の対策基準策定のための統一基準群」を参考に作成されている。

 具体的には、統合ネットワークの設計ポイントと構築手順から構成されており、基本計画、基本設計、実施設計、施工、運用といった、一般的な建築プロジェクトの進め方に合わせて進められるほか、設計のポイント、施工上の注意点なども記載され、エンジニアのスキル・経験に左右されずに、質の高い統合ネットワークが構築できるよう配慮されているとのこと。

 両社では、このガイドラインの展開により、日本におけるスマートビルの構築を進め、不動産価値向上を目指すとともに、今後、工場や学校、病院、商業施設、ホテルといった他の建物用途についても幅広く適用を図る考えだ。