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NEC、スーパーシティに必要な機能を備えたクラウドサービス「NEC都市OS」 多様なデータを利活用し効率的な連携を支援

 日本電気株式会社(以下、NEC)は8日、観光、医療福祉、防災など、複数分野にわたる行政サービスの効率化を目的として、データの利活用および連携を実現するクラウドサービス「NEC都市OS」を発表した。全国の自治体向けに同日より販売を開始する。

 「NEC都市OS」は、AI・生体認証技術などを組み合わせ、内閣府が推進する“スーパーシティ構想”の実現に向けて必要な機能を提供するクラウドサービス。地域の課題は観光、医療福祉、防災など複数の分野にまたがることが多く、課題を解決するためには、分野間において横断的なサービス・データの流通を可能にする「都市OS」の整備が必要にあるとのことで、NECではこれまでの取り組みの中で、都市OSに共通的に必要となる機能について検討を進め、今回製品化に至ったという。

 具体的には、スーパーシティ/スマートシティの先端的サービスに共通して必要となる機能として、パーソナルデータ利活用基盤、AIを活用したデータ分析、生体認証を活用した個人認証、ID連携管理などの機能を搭載している。これらの共通機能は、APIを通じて容易かつシームレスに利用できるため、先端的サービスの開発コストを低減し、短期間での実証・実装が可能な点も特徴とした。

 NECでは、こうした仕組みによって開発コストや参画のためのハードルを下げ、地場企業をはじめとした官民のステークホルダーの積極的な参画を促して、スーパーシティ/スマートシティの立ち上げや発展に必要なパートナーエコシステムの形成を支援すると説明している。

 また、クラウドサービスとして提供することによって、各自治体のスーパーシティ/スマートシティ展開計画に応じた段階的な導入に対応するほか、マルチクラウドにも対応しており、地域間連携、共同運営など、地域の特性やニーズにあわせたシステムを低コストで利用できる点もメリットだ。

 搭載されるデータ連携基盤は、NECも欧州にて開発に参画してきたグローバルスタンダードなオープンソースソフトウェア「FIWARE」をベースに開発された。また、個人同意管理等に対応し、個人から目的別事前同意を取得することにより、要配慮個人情報を含むパーソナルデータを扱える「パーソナルデータ利活用基盤」も搭載する。なお、これらはそれぞれ、スーパーシティ構想のデータ連携基盤に必要とされるデータの分散管理・API公開等の技術基準に準拠しているとのこと。

 さらに、AIを活用したデータ分析機能は、NECのAI技術群の中からスーパーシティ/スマートシティに適した機能を適用可能。認証機能では、顔認証をはじめとするNECの生体認証技術を用いた個人認証を利用できるほか、ID管理では、NEC Smart ConnectivityのIDコネクトサービスにより、複数の先端的サービスのIDを統合してユーザーの利便性を上げられるとした。

 加えて、NECの保有するセキュリティアセットから、秘密計算、ブロックチェーン、AIプライバシー等の技術を活用し、フルレイヤーでのセキュリティ担保により、エンドトゥエンドでトラステッドなサービス提供を実現する。

 これらのサービスは、2021年度下期から順次提供開始する予定で、NECでは、2025年度までに200都市での採用を目標としている。