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日本IBM、データ保護を強化したメインフレーム新製品「IBM z14」

IBM z14

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は18日、メインフレームのブランド名を「IBM Z」に変更し、その最新製品となる「IBM z14」を発表した。新製品は、1日あたり120億件を超える暗号化トランザクションを処理する能力を備え、アプリケーション、クラウドサービス、データベースにおけるすべてのデータを常に暗号化できるようになったことが最大の特徴だとしている。

 IBM z14ではシリーズで初めて、システムに関わるすべてのデータをOSレベルでハードウェア暗号化の機能により一度に暗号化できるようになった。暗号化アルゴリズム専用の回路を4倍にし、暗号化処理性能を前モデル(IBM z13)比で最大7倍に増強したことで、クラウド規模のバルク暗号化が可能となった。これは特定のデータ領域に限定した暗号化処理を行う現在のx86システムと比較すると18倍高速で、コストは5%だとしている。また、標的となりやすい暗号化キーを保護するためのハードウェアを搭載し、侵入の徴候があるとキーを無効化させ、その後、安全に復活させることができる。

 性能面では、IBM z14は前モデル比で約3倍となる32TBのメモリが最大で搭載可能となり、分析処理の応答時間の短縮およびスループットの増大を実現。また、zHyperLinkを利用することで、ストレージエリアネットワーク応答時間を前モデル比で10分の1に短縮し、アプリケーションの応答時間を半減する。これらの性能向上に加えて、2月に発表した「IBM Machine Learning for z/OS」を用いた機械学習により、業務分析モデルの作成、学習、展開を自動化することが可能になり、リアルタイム分析の効率性が大幅に向上するとしている。

 また、IBM z14ではクラウドサービスとの連携がよりスムーズになると説明。開発者は、IBM z/OS Connectを使用してAPI経由でIBM Z上にある重要なビジネスアプリケーションやデータと連携するサービスを開発しており、IBM z14ではAPIを使用してデータやアプリケーションにアクセスする際の暗号化処理を、x86を基盤にした代替テクノロジーより3倍近い速さで実行できるとしている。

 x86システムよりも50%高速にJavaワークロードを実行可能で、IBM z14を中核としたハイブリッドクラウド環境を利用する顧客は、重要な資産を守りながら新しいサービスの展開を加速できると説明。IBM Zはブロックチェーンのクラウド基盤として採用されており、IBMブロックチェーングローバルデータ・センター全体の暗号化エンジンの役割を果たしているとしている。

 また、新製品に合わせて、新たな価格モデル「Container Pricing for IBM Z」を発表。新しいz/OSアプリケーションや開発・テスト用のワークロードに対して競争力の高い料金を提供するほか、支払いソリューション向けには処理に使用された容量ではなく実際に処理された「支払い数ごと」の料金オプションを設定するなど、予測がしやすく透明性の高い料金体系などが含まれるとしている。新価格モデルは、2017年末までにz/OS V2.2およびz/OS V2.3で利用可能となる予定。