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IBM、メインフレーム向け次世代OS「IBM z/OS V2.5」を発表

 米IBMは現地時間7月27日、メインフレーム「IBM Z」向けの次世代OS「IBM z/OS V2.5」を発表した。IBM z/OS V2.5は、9月30日に一般向けの提供を開始する予定。

 IBMが同日に公表したIBM Institute for Business Valueの報告書「メインフレーム上でのアプリケーション・モダナイゼーション」では、調査対象となった経営層の71%が、メインフレームベースのアプリケーションは自社のビジネス戦略の中核となっていると回答しており、今後3年間に、ハイブリッドクラウド環境でメインフレーム資産を活用する組織の割合は2倍超にまで増加することが予想されるとしている。

 IBM z/OS V2.5は、AIの活用、アプリケーションモダナイゼーション、レジリエンシー、セキュリティの強化、デベロッパーエクスペリエンスの向上など、全体にわたって新機能を提供することで、顧客にとっての価値の推進を後押しするとしている。

 セキュリティの強化としては、認証、許可、ロギング、システム保全性、システムおよびデータ可用性、伝送途中および保存されたデータの暗号化、全体的なデータプライバシー全体にわたる幅広い強化点を明らかにすることで実現する。

 全方位型暗号化を新たなタイプのデータ・セットに拡張し、順次の基本フォーマットおよびラージフォーマットのSMS管理データセットがサポートされるようになり、アプリケーションを変更することなくデータを暗号化して、コンプライアンスを簡略化する機能を提供する。

 また、z/OS Anomaly Mitigationとして、事前障害分析(PFA)、実行時診断、ワークロードマネージャー(WLM)、JES2を利用して、さらに異常な挙動をほぼリアルタイムで検知できるよう支援し、顧客が潜在的問題に事前に対処できるようにします。

 企業のハイブリッドクラウドに向けた取り組みに対しては、保護されたスケーラブルな環境を提供。新たなJava/COBOL相互運用性として、31ビットと64ビットの並列アドレッシングをサポートし、既存のアプリケーションプログラミングモデルを拡張することで、エンタープライズアプリケーションのモダナイゼーションを簡素化する。

 z/OS Container Extensions(zCX)の性能強化と使いやすさの向上としては、Linuxのアプリケーションおよびユーティリティーのz/OSへの統合が可能。また、クラウドストレージを統合するための追加機能が、透過クラウド階層化(TCT)とオブジェクトアクセス方式(OAM)のクラウド階層サポートを通じて提供され、IBM Z上での簡易なデータ保存およびデータ保護のための、ハイブリッドクラウドストレージ環境へのデータ転送に伴う資産および運営の費用を削減する。

 IBMでは、IBM z/OS V2.5は、より迅速かつ容易にインストールおよびアップグレードできることが期待され、ある顧客による実証では、IBM z/OS 2.3および2.4と比較して、30%も早くインストールできることが確認できたとしている。