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Rubrik、Data Security Command CenterやCloud Vault、Microsoft 365バックアップなどに関して説明
Rubrik FORWARD基調講演レポート
2022年5月19日 11:56
エンタープライズ向けのバックアップツールを提供するRubrik(ルーブリック)は5月17日~5月18日(現地時間、日本時間5月18日~5月19日)に、米国カリフォルニア州サンディエゴ市にある「Marriott Marquis San Diego Marina」において、同社の年次プライベートカンファレンスとなる「Rubrik FORWARD」を開催した。
5月18日には初日の基調講演やブレークアウトセッションが行われたほか、同社の新製品となる「Rubrik Security Cloud」が発表された。また5月19日には2日目の基調講演として、初日に発表されたRubrik Security Cloudの詳細などが説明されたほか、各製品の詳細を説明するブレークアウトセッションなどが行われた。
バックアップ体制をシステムが自動で採点して状況を管理者に示すRubrik Data Security Command Center
Rubrikは、同社が開催した「Rubrik FORWARD」の初日基調講演の中で、同社の新しいソリューションとして「Rubrik Security Cloud」を発表した。
Rubrik Security Cloudは、従来オンプレミス向け、クラウド向け、SaaS向けとそれぞれ提供してきたRubrikのバックアップ製品を1つに統合した製品。バックアップ、ランサムウェアやマルウェアの対策、どの時点のバックアップのスナップショットがランサムウェアにより暗号化されていないかなどの検疫機能とクリーンバックアップによる復元などの機能が用意されており、オンプレミス、クラウド、SaaSというデータの場所を意識せずとも1つのSaaSベースの管理ダッシュボードからバックアップと復元を容易に行うことが可能になる。
Rubrik、バックアップとランサムウェア対策を統合的に実現できるRubrik Security Cloudを発表
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/event/1410015.html
Rubrik FORWARDの2日目の基調講演ではそうしたRubrik Security Cloudで新しく提供される機能などの詳細が説明された。
Rubrikの共同創始者、CTO(最高技術責任者) 兼 開発責任者 アービンド・ニスラカシヤプ氏は、同社がRubrik Security Cloudと同時に発表した「Rubrik Data Security Command Center」(以下Data Security Command Center)に関して説明を行った。
ニスラカシヤプ氏は「Data Security Command Centerは1つのダッシュボードで皆さんの会社が抱えるリスクを把握するための機能だ。自社がランサムウェアやデータの復元などに関してどんなリスクを抱えているのかを一目で把握することが可能になる」と述べ、導入を呼びかけた。
Data Security Command Centerは、一言で言ってしまえば、バックアップ体制を自己評価するスコアリング機能。MFA(多要素認証)など管理機能の設定や、ランサムウェアへの備え、データバックアップの体制などをRubrikのシステムが自己診断し、点数化する。それにより、自社のバックアップ体制がランサムウェアの備えができているか、設定は万全かなどを自己評価することが可能になる。
なお、基調講演後に行われたブレークアウトセッションでは、Data Security Command Centerは夏ごろにリリースされる予定であることが明らかにされている。
また、ニスラカシヤプ氏はデータ復元(Data Recovery)についても説明し、「リカバリーは迅速に行われる必要があるし、リカバリーしたのにマルウェアもリカバリーしてしまってはいけない」と述べ、きちんとマルウェアやランサムウェアなどを検疫した上でクリーンなバックアップのポイントを見つけ、迅速にリカバリーする必要があると強調した。
その上で、きちんと検疫したバックアップを、クラウド上のダッシュボードから探して、そこからすぐにリカバリーできる様子をデモしてみせている。
クラウド、SaaSを簡単にバックアップするためのRubrik Cloud Vault、すでに提供が開始されている
Rubrik 共同創始者、チーフアーキテクト ソハム・マズンダー氏はRubrikのクラウド向けバックアップとなる「Rubrik Cloud Vault」に関しての説明を行った。
マズンダー氏は「この数年、われわれは対応するSaaSやクラウドを増やしてきた。AzureのSQL、Kubernetes、Exchange、IBM DB2などはその代表例と言える。そうしたクラウドサービスをイミュータブル(書き換え不可能にすること)にバックアップする機能としてRubrik Cloud Vaultの提供を開始した」と述べ、オンプレミスだけでなく、クラウドやSaaS上にあるデータも簡単にバックアップできる機能としてRubrik Cloud Vaultの提供をすでに開始していると説明した。
また、ダッシュボードからいくつかの選択肢をクリックしていくだけでMicrosoft 365やAzure SQLなどのバックアップが簡単にできるようになると述べ、クリックしていきターゲットを選択していくだけで簡単にバックアップが作成できていく様子を、デモで説明している。
そして、今回発表される新しい機能として、複数のクラウドにアーカイブする機能が2022年夏に追加されると説明している。
エンタープライズのSaaSで最も重要なものの1つであるMicrosoft 365も書き換え不可にバックアップが可能
Rubrik クラウド製品 セールス部長 ルイ・フェレラ氏はMicrosoft 365向けのバックアップ/リカバリーソリューションに関して説明した。
フェレラ氏は「Microsoft 365は電子メールやOneDrive/SharePointなどのアプリケーションが業務に必要不可欠なアプリになっている。それは攻撃者も認識しており、Microsoft 365への攻撃は増え続けている。仮にMicrosoft 365上のデータがランサムウェアなどにやられると、その影響は計り知れない」と話し、今や世界で最も使われている生産性向上ツールとなっているMicrosoft 365のバックアップやリカバリー体制を整えることは重要だが、その重要性はあまり認識されていないと指摘した。
その上で「Microsoft 365のバックアップに必要なのは、エアギャップ(何らかの壁で通常の環境とバックアップが隔てられていること)の確保やアカウントの分離、イミューダブル(変更不可)なストレージの確保などだ」と述べ、Rubrikが提供しているMicrosoft 365向けのツールなどを利用して正しくバックアップを確保し、いつでも復元できる体制を整えていくことが大事だと強調した。
フェレラ氏はそのデモの中で、Microsoft 365の主要アプリの1つであるTeamsがランサムウェア攻撃に遭ったあとでバックアップから、複数クリックしていくだけでデータを書き戻す様子をデモした。