週刊海外テックWatch

Salesforceが「Heroku」の新機能開発を停止 Agentforceに資源集中
2026年2月16日 11:28
SalesforceがPaaSプラットフォーム「Heroku」の新機能開発を停止し、保守運用モードへ移行すると発表した。2011年の買収時には革新的だったHerokuだが、クラウドの台頭とSalesforce自身のAIエージェント基盤「Agentforce」への集中によって戦略的優先順位を失った格好だ。アナリストは「段階的廃止への準備」と分析している。
新規エンタープライズ契約も終了
Salesforceは2月6日、同社のPaaS(Platform as a Service)であるHerokuの方針を変更し、新機能開発を停止して保守運用モデル(sustaining engineering model)に移行すると発表した。最高プロダクト責任者としてHerokuを統括するNitin T Bhat氏が公式ブログで明らかにした。
保守運用モデルへの移行によって、Herokuは「安定性、セキュリティ、信頼性、サポート」に重点を置いた運用体制となる。「Herokuは引き続き本番環境で利用可能なプラットフォームとして積極的にサポートされるが、新機能の導入よりも品質維持と安定運用に重点を置く」とBhat氏は説明している。
最も大きな変更点は、新規顧客に向けたEnterprise Accountの提供を停止することだ。Enterprise Accountは大規模企業向けの契約ベースのプランで、専用サポートなどが含まれる。新規の提供は停止するが、既存のエンタープライズ契約については変更なく、通常通り更新できる。また、クレジットカード決済を利用する顧客(既存・新規とも)についても、価格、請求、サービスに一切変更はないとBhat氏は強調している。
今回の方針転換の理由についてBhat氏は、「長期的に最大の顧客価値を提供できる領域に製品およびエンジニアリング投資を集中させるため」とし、「企業がセキュアで信頼できる方法でエンタープライズグレードのAIを構築・展開できるよう支援する」と説明している。
“sustaining engineering”という表現について、Tech Radarは「将来のロードマップも新たなイノベーションもなく、長期的には製品終了のリスクを伴う状態を意味する業界用語」と説明。SiliconANGLEなど他のメディアも、今回の発表をHerokuの段階的廃止に向けた準備と捉えている。