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日本企業のAI導入は21%から68%に急拡大、投資効果は地域最高水準に~レノボ調査「CIO Playbook 2026」

 レノボ・ジャパン合同会社(以下、レノボ)は17日、今年で4回目となる「CIO Playbook 2026:エンタープライズAIを巡る競争」の結果を発表した。同調査は、世界の主要市場で3120人、アジア太平洋地域で920人、日本でも多数のITおよびビジネス意思決定者を対象に実施したもので、本企業がAI活用において大きな転換点を迎えていること、企業のAI導入スピードは加速し、その投資効果も着実に表れ始めていることなどが示されたとしている。

 調査によると、アジア太平洋地域全体では96%、日本では93%の企業が、今後12カ月以内にAI投資を増加させる計画であると回答している。投資対象は、生成AIやエージェンティックAI、パブリッククラウドAIサービス、オンプレミスのAIインフラ、AIセキュリティツールなど幅広く、平均で15%の増加が見込まれている。日本企業では特に、「AIのセキュリティ、信頼性、透明性に関するツール」「AIデバイスの導入」「AI人材の獲得、定着」が重要なテーマとして挙げられている。

 レノボは、こうした投資意欲の高まりは、企業のAI導入フェーズが「実験段階」から「本格運用」へ移行していることを示していると分析する。実際、日本企業におけるAI導入状況はこの1年で大きく前進し、2025年には21%にとどまっていた試験導入、本格導入企業が、2026年には実に68%へと急増している。このことは、日本市場がAIを単なる業務効率化の手段としてではなく、成長と競争優位を生み出す戦略的ドライバーとして捉え始めていることを示しているとしている。

 また、アジア太平洋地域では88%の企業が2026年にAIからプラスのROI(Return of Investment)が得られると期待しており、平均して投資額1ドルあたり2.85ドルの収益を見込んでいる。一方、日本企業のROI予測はこれを上回り、1ドルの投資に対して3.05ドルという、地域トップレベルの収益性が期待されている。AIの導入が進むことで、収益性や業務効率性における明確な価値を実感する企業が増えていると分析している。

 一方で、PoCから実運用への移行は依然として大きな課題であり、AIガバナンス、運用モデル、ライフサイクル管理の重要性が急速に高まっていると指摘する。AI導入の主導権もIT部門だけにとどまらず、調査対象企業の半数が「非IT部門がAI計画の予算を持っている」と回答している。AI活用はカスタマーサービス、マーケティング、オペレーション、財務、業界固有の業務など、組織全体へと急速に広がっており、CIOの役割は企業横断での調整役、推進役として拡大し、存在感を強めているとしている。

 アジア太平洋地域全体では66%の企業がすでにAIを試験的運用中もしくは組織的に導入しており、15%がAI開発の初期段階、19%が導入を検討中または計画中の段階と回答している。日本はこれをわずかに上回り、試験運用中、もしくは組織的に導入済みの企業が68%開発の初期段階が13%、導入を検討中、もしくは計画中が19%となっている。

 今回の調査では、エンタープライズAIの次なる焦点として「AIエージェント」が浮上したと分析しており、アジア太平洋地域では今後12カ月でAIエージェントへの関心は2倍に高まることが予想され、すでに21%の企業が積極的に活用している。一方で、大規模導入の準備が整っている企業はわずか10%で、41%が「本格導入には12カ月以上必要」と回答している。大規模導入には、サイバーセキュリティやプライバシー、データ品質、既存システムとの統合などが主要な課題として挙げられるとしている。

 レノボでは、企業が求めているのは「単なるインテリジェンスの追加」ではなく、「コアワークフローの中で確実に動作し、ガバナンスとセキュリティを満たし、一貫した成果を提供するAI」で、これはAIが企業の中核に組み込まれていく次のフェーズを象徴していると指摘している。

 インフラの観点では、ハイブリッドAIがエンタープライズアーキテクチャの標準となりつつあると分析している。アジア太平洋地域の86%の企業がオンプレミスやエッジ環境をAI基盤に組み込んでおり、日本企業でも71%がハイブリッドAIを採用している。日本では、データプライバシーや規制順守、クラウド管理の複雑さ、リアルタイム処理の必要性が主な導入理由となっており、企業のAIインフラ戦略はより堅牢で柔軟な方向へと進化しているとしている。

 CIO Playbook 2026では、CIOが今年取り組むべきテーマとして、「AI推論を価値創出のエンジンへと転換すること」「従業員生産性を高めるAIデバイス導入の推進」「PoCの壁を越え、AIをスケールさせる仕組みづくり」の3点を挙げている。

 AI推論を価値創出のエンジンへと転換することについては、AIモデルの推論コストはトレーニングの最大15倍に達する可能性があり、2030年にはAIコンピューティングの75%が推論専用になると予測されていると指摘する。また、企業の80%が分散型エッジインフラストラクチャに依存するようになることが予想されるとしている。

 従業員生産性を高めるAIデバイス導入の推進については、AI PCの導入が加速し、企業が購入するPCの50%が、オンデバイスAIエージェント搭載モデルへの移行が見込まれるとしている。

 PoCの壁を越え、AIをスケールさせる仕組みづくりについて、88%の企業がプラスのROIを期待する一方、実運用へ移行できているのは約半数にとどまるため、スケールが最大の課題となっているとしている。