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JR東日本やみんなの銀行、アサヒグループ、ドコモなどが登壇し、コンテナの活用事例を紹介

「Google Cloud Anthos Day」ユーザー事例セッションレポート

アサヒグループ:BigQueryとGKEでデータ基盤

 アサヒビールを中心とするアサヒグループのコンテナ利用事例は、アサヒプロマネジメント株式会社の清水博氏(ITイノベーション戦略部 マネージャー)が紹介した。

 アサヒグループは現在、収益の34%が海外事業であり、日本国籍以外の社員のほうが多いという。そのため「日本固有のITの構築ではグローバルで通用しない」と清水氏は言う。

アサヒプロマネジメント株式会社の清水博氏(ITイノベーション戦略部 マネージャー)
アサヒグループでは日本国外の従業員のほうが多い

 システムにおいては、自社データセンターで運用してきた既存システムが負担になっていたという。「8~9割が既存システムのお守りで、新しいことをやるリソースがない」と清水氏。「そこで、『つくる』から『やめる』への転換と、『落ちない』から『いつでも回復できる』への転換で、クラウドに移行することにした」。

「つくる」から「やめる」への転換
「落ちない」から「いつでも回復できる」への転換

 対象となったのは、アサヒビールの小売り向けの量販業務だ。「ビール業界の小売り営業では、競合商品まで含めた棚を提案するため、データから導かれる価格的な根拠を持っていないと商談がとれない」と清水氏は説明する。

 このカテマネ(カテゴリーマネジメント)のシステム構築がスタートしたのは2018年だったが、プロジェクトは2015年から準備を進めてきたという。

ビール業界の小売り向けの量販業務
プロジェクトの流れ

 GCPのサービスとしては主に、BigQuery、GKE、Cloud Composerを利用している。バッチ処理は、オンプレミスで動かすデータ量を超えているため、すべてBigQueryにおまかせているという。GCPのサービスの利用により、インフラレベルの運用はほぼゼロになった。

 また、「昔のシステムの延命はもうやめよう」と考え、すべての処理をコンテナ化してマイクロサービス化したという。「コストは従来よりかかっているが、追加改修に柔軟に対応できる」と清水氏。

 2018年11月にリリースした時点では、AzureのAKS上のマイクロサービスからBigQueryのジョブを呼び出していたが、2019年3月にはAKEからGKEへと移行した。2020年2月には、SQL Databaseの部分もBigQueryに移行するという。今後については、API化などを予定している。

主に利用するGCPのサービス
2018年11月時点の構成。マイクロサービスはAKSで実行
2019年3月の構成。AKEからGKEに移行
2020年2月には、SQL Databaseの部分もBigQueryに移行
今後の予定

 最後に清水氏は経験を振り返り、「AWSやAzureに比べて情報が少なかった。必要なのは勇気じゃなくて情報」とユーモラスにまとめた。