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米GitLabが国内市場へ本格参入、日本企業のソフトウェア開発効率化を支援

オンライン記者説明会レポート

 ソースコード共有を中心に、ソフトウェア開発プロジェクト管理機能を提供する米GitLabは28日、日本への本格参入を発表した。

 日本市場への参入としては、2020年3月に日本法人のGitLab Japanを設立したほか、それに先立つ2月には、村上督氏が日本のカントリーマネージャーに就任している。なお、GitLabがカントリーマネージャーを置いたのは日本が初めてだという。

日本企業に向けてインパクトのある展開を狙う

 4月28日に開催されたオンライン記者説明会では、本格参入の背景として、アジア太平洋地域担当セールスディレクターのAnthony McMahon(アンソニー・マクマホン)氏が、日本を含むアジア太平洋(APAC)地域においてGitLabのコミュニティと顧客からの関心が特に高まっていると説明。さらに、GitLabが2019年9月に2億6800万ドルのシリーズE投資を受けたことから、APAC事業の強化を決めたと語った。

 またGitLab Japanの村上氏は、戦略的なインパクトのある展開を狙っているとし、「国内ではフリー版のユーザーがすでに多数おり、現場のエンジニアに使っていただいている。ただし、有料サービスでは高可用性やログの監査、セキュリティの担保などの機能もある。エンジニアだけでなく企業の経営層に対してビジネス的に説明していき、次のステップに進みたい」と語った。

 現在、日本のチャネルパートナーとしてはクリエーションライン株式会社がある。村上氏は、日本ではこれからSIer的なパートナーも広げ、細かなサポートに加え、企業の文化やプロセスの変革などにも取り組みたいと語った。

GitLab 共同創設者兼CEO Sid Sijbrandij氏
GitLab 日本担当カントリーマネージャー 村上督氏
GitLab アジア太平洋地域担当セールスディレクター Anthony McMahon氏

ソフトウェア開発プロジェクト管理の機能を単一のアプリケーションでカバー

 GitLabは、バージョン管理ツールGitのソースコードリポジトリを中心に、イシュー管理などのプロジェクト管理機能を持つツールだ。同様のサービスにGitHubがあるが、GitLabは、オンラインのサービスのほか、ユーザーが無償でサーバーを立てられるオープンソースソフトウェア(OSS)版もある。

 またGitLabは、以前からCI/CDなどの機能を備えているのも特徴だ。例えばOSS版のCI/CD機能だけを利用するといった事例も見受けられる。GitHubのGitHub Actionsなどは、時系列としてはGitLabの後を追った形となっている。

 GitLab 共同創設者兼CEOのSid Sijbrandij(シッツェ・シブランディ)氏は、「デジタル変革(DX)の時代では、すべての企業がソフトウェア企業になっていく。企業がGitLabなしに現代のソフトウェア開発を実現しようとすると、10以上のアプリケーションを組み合わせることになる。その結果、アプリケーションをまたいだ設定や変更が必要になり、利用者の習熟もそれぞれに必要になる」と主張。「GitLabでは、単一のアプリケーション、単一のUI、単一のデータモデル、単一の考え方で利用できるため、導入もトレーニングも簡単で短くなる」と、メリットをアピールした。

 GitLabは、プロジェクト管理、問題管理、開発、検証、パッケージリポジトリ、セキュリティ、リリース、構成管理、モニタリング、防御といった広い分野をカバーしており、3種類の有料プランと1種類の無料プランごとに使える機能が異なる。

 「個人向けの機能であれば低位のプランから使えるが、大企業やエグゼクティブ向けの機能は高位のプランが必要になる」とSijbrandij氏は説明し、「GitLabの売上の70%は2000人以上の大企業から」と語った。

 さらにSijbrandij氏は、GitLabの顧客企業の事例も紹介した。中でもGoldman SachsはGitLabにより、重要なアプリケーションのリリースまでの時間を数週間から数分に短縮したという。

「GitLabなしでは多くのアプリケーションを組み合わせることになる」
GitLabのカバー範囲
3種類の有料プランと1種類の無料プラン
プランごとの機能と企業内の階層の対応
GitLabの顧客企業の事例

 なおSijbrandij氏はGitLabのグローバル体制について、世界67カ国から100%リモートな勤務形態をとっていると説明し、「世界中の優秀な人材を集めることが可能」と語っている。