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マイクロソフトはどんな未来を描いていくのか? クラウド・AI時代のパートナー戦略を見る

Japan Partner Conference 2018 基調講演レポート

DX実現に向け、MR、AI、量子コンピューティングの3つに注力する

 続いて登壇した日本マイクロソフトの平野拓也社長は、2020年に向けた方向性について説明した。

日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏

 平野社長は、日本でのクラウドビジネスの成長率がMicrosoft全体の成長を上回っていること、日経225銘柄の92%がマイクロソフトのクラウドを利用していること、中堅・中小企業、教育機関、政府でもクラウドの導入が促進されていることを紹介。

 「Microsoftでは、通信会社が所有する光ケーブルよりも長く、世界で2番目となる200万kmの光ケーブルを持っており、世界一となる54リージョンに100以上のデータセンターを持ち、そこで数百万台のサーバーが動いている。ハイパースケールで顧客のビジネスに貢献できるクラウドサービスを提供できる」とした。

マイクロソフトクラウドは大手企業の採用が相次ぐ
世界最大規模のクラウドインフラを持つ

 また最近、約10人のCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)と、DXの定義について話をしたことに触れ、「CDOの多くが、カスタマーエクスペリエンスを変えることがDXの定義であると異口同音に語っていた」とし、「日本マイクロソフトはそれを実現するために、MR(Mixed Reality)、AI、量子コンピューティングの3つに注力する」と述べた。

マイクロソフトは3つのイノベーション分野に注力

 続けて、「特にAIに関しては、8000人の技術者がMicrosoftに在籍しており、日々、研究開発を進めている。MicrosoftのAIは、画像認識や音声認識、文章の読解率では人間以上の精度を持っており、これによって、仕事や生活のあらゆる場面でAIを活用し、人間の創造性を拡張することを目指している。また、AIはチャンスであるが、同時に責任が必要である。マイクロソフトは、プライバシーやサイバーセキュリティ、AIの倫理観といったところにも踏み込んでいる」と発言。

 「日本では、流通、ヘルスケア、政府・自治体、自動車、金融、メディアコミュケーション、教育、製造といった業種でAIを活用するために、インダストリースペシャリストを配置し、デジタルアドバイザーという要員も用意している。深い業界知識をもとに、業界に最適化したソリューションを提供できるようにしている。ここにパートナーのIPやソリューションを加えて提供していくことになる。いま、日本マイクロソフトの社員の評価指標のひとつに、パートナーのIPを紹介するという要素が盛り込まれている。案件の中にパートナーの名前がないと上司に怒られることになる」などとした。

AIは人間以上の精度へと進化している
AIでは8つの分野での展開を加速する

 そのほか、浜松ホトニクスではクラウドとAI、センサー情報を生かした早期認知症診断支援システムを開発していること、近畿大学では、養殖における稚魚の自動選別システムにクラウドとAIを活用していることも紹介した。

 講演の最後に、平野社長は、「2020年に向けて、日本の社会変革に貢献するために、ワークスタイルイノベーション、ライフスタイルイノベーション、インダストリーイノベーションに取り組む。3年前にはパブリッククラウドのベンダーとしては日本で5位だったが、昨年は2位になった。お客さまのビジネスに貢献することで、2020年には日本のナンバーワンクラウドベンダーになりたい。その上では、パートナーとの協力が不可欠になる。この数年、パートナー向けプログラムが変更し迷惑をかけたが、課題が発生するたびに改善を加えて、さらに大きなビジネスができるようにしてきた。これからもパートナーのビジネスの成長を支援していきたい」と締めくくった。

日本では2020年に向けて3つのイノベーションを推進
国内クラウドベンダーナンバーワン奪取を宣言した