仮想化道場
“自働化”を実現した新型マイクロサーバー「HP MicroServer Gen8」の管理機能を試す (クラウドからサーバーの健康状態を監視する)
(2013/8/16 06:00)
クラウドからサーバーの健康状態を監視するHP Insight Online
MicroServer Gen8のiLO4には、HP Active Health Systemという監視機能が用意されている。
HP Active Health Systemでは、サーバーに電源ケーブルを挿した段階から、CPUやメモリ、ネットワークカード、ストレージなどに対して、各種の診断を常時行っている。iLO4の上で動作しているため、OSがインストールされていなくても、各種診断は行われている。
HP Active Health Systemをクラウドにまで拡張したのが、HP Insight Onlineだ。このクラウドサービスを利用すれば、サーバーの動作状況をクラウドで監視することができる。もし、トラブルが起こったとしても、クラウド上でハードウェア構成、サービスイベント、保証・保守契約などを簡単に確認することができる。
こいうった管理クラウドがあれば、中小企業においても、専門の要員を配置しなくても、簡単にサーバーの管理が行える。また、システムインテグレータも人を常駐させなくても、クラウドで監視できるため、保守コストを下げることもできるだろう。
実際にMicroServer Gen8を使ってみると、iLO4の機能は非常に強力だ。今回は、トライアルライセンスでiLO Advancedを使用したが、KVMと仮想メディア機能などが使えれば十分にサーバーの管理が行える。このため、MicroServer Gen8では、iLO Essentialsのライセンスで十分だろう。
OSのインストール時には、HP Intelligent Provisioning機能は非常に便利だ。リモートPCに保存されているOSインストールイメージ(ISOイメージ)をiLO4の仮想メディア機能でマウントして、HP Intelligent Provisioning機能を使ってOSのインストールを行えば、ハードウェアにマッチした最新ドライバをインターネットからダウンロードしてインストールしてくれる。
さらに、iLO4自体のファームウェアのアップデート、ストレージシステムのファームウェアなど、通常ならMicroServer Gen8の前でアップデートを行う必要があるアップデートも自動的に行ってくれる。これなら、常にサーバーを最新の状態にしておくことができる。
MicroServer Gen8をテストしてみて少し困ったのが、液晶モニタだ。起動時のBIOS画面などがSVGAの解像度となっているため、液晶モニターによっては、アナログ端子では表示ができない製品もある。最近のハードウェア環境を考えれば、MicroServer Gen8のディスプレイ端子もアナログディスプレイ端子ではなく、デジタルディスプレイ端子にした方がいいのではと感じる。
ただし、こういった時でも、KVM機能を使ってリモートPCに画面を表示すれば、問題なく利用できた。
MicroServer Gen8は、製品としては非常に面白い。しかし、以前のMicroServerから比べると価格が高くなったので、個人が楽しんで使うサーバーとは言いがたい。やはり、さまざまなソリューションと組み合わせた業務専用のアプライアンスサーバーとして使われるのだろう。
支店や店舗などに設置されるサーバーとしてはぴったりなのかもしれない。iLO4のHP Insight Onlineを使えば、全国に設置されているMicroServer Gen8を一括で管理することができる。もし、サーバーにトラブルが起こっていれば、iLO4にリモートアクセスして、トラブルの原因をある程度確定してからメンテナンス要員を向かわせれば、トラブルを短時間で解消して、正常に戻すことができる。
個人的には、SSDなどを使うことを考えれば、3.5型HDDユニットではなく、2.5型HDDユニットを6台、もしくは8台搭載できるようになれば便利だろうと思う。また、SSDを使ってHDDを高速化するSSDキャッシュ機能などがサポートされるようになれば、OSのブートも高速になるだろう。
できれば今後は、同じ筐体を使って、新しいプロセッサやチップセットなどに対応していってほしい。例えば、第4世代のCoreiプロセッサ(Haswell世代)を搭載したマザーボードをリリースするなど、同じ筐体をできるだけ長期間利用できるようにしてほしい。
そうなることで、システムインテグレータが自社のソフトウェアを組み込むアプライアンスサーバーとして、長期間にわたって採用されることになるだろう。