仮想化道場
サーバー向けにチューンナップされた新しいAtom「C2000シリーズ」
(2013/9/5 08:30)
最近サーバーの分野においても、1Wあたりのパフォーマンスが優れたプロセッサを多数搭載したマイクロサーバーに注目が集まっている。まだ、HPのMoonshotやAMDのSeaMicroなどしかリリースされていないが、2014年には64ビットのARMプロセッサを使ったマイクロサーバーを開発しようというサーバーベンダーが数多くいる。
マイクロサーバー分野に向けて、Intelが提供するのがAtom C2000シリーズ(開発コード名:Avoton)だ。今回は、発表されたばかりのこの製品の特徴を紹介する。
マイクロアーキテクチャを一新したAtom C2000
Intelは、低消費電力向けのプロセッサとして、昨年Atom S1200シリーズをすでにリリースしていた。Atom S1200シリーズは、Windows 8タブレットなどで採用されている、SaltwellアーキテクチャのAtom Z2760(開発コード名:Clover Trail)をベースにしていたため、CPUコアとしては、あまり高いパフォーマンスを示せなかった。
実際、Atom S1200は発表はしたが、大手のサーバーベンダーは採用しなかった。大きな理由としては、Atom S1200ではあまり高いパフォーマンスを示せず、低消費電力性といってもそこそこでしかなかったことがあるようで、サーバー用のプロセッサとしては中途半端というサーバーベンダーの判断だった。
またI/O関連にしても。タブレットやスマートフォンに向けたプロセッサがベースになっているので、サーバーで使用するにはあまりにも性能不足だった。
こうした課題を解決するために新たに開発されたのが、Atom C2000シリーズだ。
Atom C2000シリーズでは、Atomプロセッサとしては第3世代にあたる、新しいSilvermontコアが採用された。
Silvermontコアは、以前のSaltwellコアからマイクロアーキテクチャデザインを一新し、アウトオブオーダー型のプロセッサに変更して、ある程度のパフォーマンスが出せるようになっている。
64ビットのx64アーキテクチャを採用したほか、SSE4.1/SSE4.2をサポート。さらに、AES暗号の暗号化や復号を高速化する命令のAES-NI、IntelのIvy Bridgeプロセッサに搭載された、繰り返しの少ないランダムな数字を生成するIntel Secure Key(RDRAND)、スーパーバイザーモードで実行保護を行うIntel OS Guardなどが搭載されている。
仮想化機能に関しては、第2世代VT-xをサポートし、EPT(Extended Page Table)、Virtual Processor IDなどにも対応している。このため、以前のAtom S1200シリーズよりも低負荷でハイパーバイザーを動かすことができるだろう。
CPUコア自体は、2コアで2次キャッシュメモリを共有するので、パリエーションとしては2の倍数となり、2コア~8コアまでが用意されている。さらに、最大2.6GHzまでのターボブーストも実現された。
ただし、Atom S1200が持っていたHyper Threading(HT)機能は廃止された。これは、HTにより仮想的にコアを増やすよりも、物理コアを増やした方が性能的に高くなるためだろう。また、SilvermontコアのアーキテクチャがHTに不向きなのかもしれない。