仮想化道場

“自働化”を実現した新型マイクロサーバー「HP MicroServer Gen8」の管理機能を試す (自働化されたMicroServer Gen8)

自働化されたMicroServer Gen8

 MicroServer Gen8のメリットは、サーバーの自働化だろう。特に、自働化の中枢といえるのが、サーバー管理システムのHP Integrated Lights-Out Management Engine 4(iLO4)の存在だ。

 iLO4は、以前のMicroServerに搭載されたリモート管理や電源管理機能だけでなく、運用ライフサイクル全般にわたって、自動化を行うために進化している。

 iLO4のフル機能を利用するには、オプションでライセンスを購入する必要がある。リモートコンソールや仮想メディアが利用できるiLO Essentials(1万4700円)、電力管理やリモートシスログなどが利用できるiLO Advanced(5万6700円)が用意されている。ライセンスを購入しない場合は、サーバーの温度監視、WebベースGUIなどの機能しか使えない。

 機能的には、iLO Advancedまでは必要ないが、iLO EssentialsはMicroServer Gen8を使うなら、ぜひとも必要なライセンスといえる。ただ今回は、期間限定のトライアルライセンスを試用したため、iLO Advancedを使ってテストを行った。

機能比較
提供機能オンボード機能iLO EssentialsiLO Advanced
価格(1年保守サポート・アップデート権付の場合)無償\14,700(税込)\56,700(税込)
仮想メディア/仮想フォルダ×
リモートコンソール (仮想 KVM )×
Eメールアラート×
電力管理・制御フル機能××
コラボレーションモード××○(最大6人)
ビデオ録画/再生機能××
リモートシスログ××
SSH テキストコンソール××
ヘルス監視
WebベースGUI
仮想電源ボタン
IPMI/DCMI

 iLO4を利用すれば、Webブラウザ経由で、MicroServer Gen8の状態をチェックすることができる。マザーボードの各所に設置された温度センサーからの情報を表示したり、パワーサプライの状態、プロセッサ、メモリ、ネットワーク、ストレージの状態などをチェックしたりすることができる。

 さらにiLO4を使えば、MicroServer Gen8の電源が入っていなくても、リモートから電源をオンにしたり、サーバーをリセットしたりすることもできる。

iLO4ではランゲージパックとして日本語パックをインストールすれば、日本語表示で利用できる
iLO4では、ブラウザを使って、MicroServer Gen8の状態をリモートPCから確認することができる。ファイアウォールなどを通過できれば、IPアドレスを指定して、インターネット経由でアクセスすることもできる
iLO4の仮想電源ボタンを使えば、電源オフ/オン、リセットなどをリモートPCから行える
温度グラフを見れば、サーバーのどのあたりが高温になっているか一目で確認できる
温度センサーの状態を一目で確認できる。これなら、システムが高温になってトラブルになる前に注意することもできる
汎用のパワーユニットを使っているため、パワーユニットの細かな情報は取得できない。できれば、ほかのサーバーで採用しているHP製のパワーユニットが使われれば、パワーユニット関連の情報も確認できるのにと思う。
iLOでは、自己テスト機能も用意されている。システムを管理するiLO自体が故障していては管理自体ができなくなる。このあたりは、業務で利用できるレベルまで管理機能が引き上げられている

 iLO Essentialsのライセンスを追加すれば、KVMの機能が利用できる。この機能を使えば、サーバーが起動してから表示される画面をリモートPCで表示することができるため、BIOSや各種ファームウェアの設定などをリモートPCから行うことも可能だ。

 KVMを使うには、Windows OSなら.Net Framework、Javaなどが利用できるため、さまざまなプラットフォームから使える。

 iLO4では、iOSやAndroid OSなどのスマートフォンやタブレット用のアプリが用意されているため、モバイルデバイスからサーバーのコントロールを行うことが可能だ。

KVMでは.NET FrameworkやJavaが利用できる。このほか、スマートフォンやタブレットからもKVM機能が利用できるようにアプリがリリースされている
.NET Frameworkを使ってサーバーのBIOS画面を表示
HDDのアレイコンフィグレーションもKVMを使って設定できる
RAID0やRAID1の設定なども簡単に行える

 また、iLO Essentialsを利用すれば、仮想メディア機能が利用できる。この機能は、リモートPCのHDDに保存されているISOファイルのCD/DVDイメージ、フロッピーイメージや、リモートPCの物理CD/DVDドライブ、物理フロッピーディスクドライブなどを、仮想的にMicroServer Gen8のドライブとして利用できる。

 この機能を使えば、リモートPCからOSのインストールをしたり、KVM機能と組み合わせて、ハードウェアのテストソフト(例えば、メモリのテストソフトなど)を動作させ、ハードウェアのどこにトラブルがあるのかをチェックしたりすることができる。

 MicroServer Gen8は、パワーユニットに汎用製品が利用されているため、パワーユニットの細かな情報は表示できない。このため、時間帯あたりの電力消費量などの電力メーター機能は利用できない。さらに、サーバー側で省電力を制限するパワーキャッピング機能を利用することもできない。

仮想メディアを使えば、リモートPCのCD/DVD/フロッピーイメージをマウントして、サーバーを起動することができる

(山本 雅史)