仮想化道場

苦難の2013年を越え、輝かしい2014年に賭けるAMD

Opteron Xの後継、サーバー向け64ビットARM、現行Opteronの後継の3ラインを提供へ

 米AMDは、6月18日にサーバー向けプロセッサのロードマップを更新した。弊誌でもニュースとしてはお届けしているが、今回はより詳細にロードマップを解説していく。

2013年のサーバーCPUはOpteron X(開発コード名:Kyoto)のみ?

 AMDにとっては、2013年は鬼門ともいえる年となる。昨年から、2013年にはメインストリームのサーバープロセッサはリリースされず、サーバー分野においてAMDのブランド力は低下していくといわれていた。

 それでも、2013年の秋から年末には、新しいSteamrollerコアを採用したOpteronがリリースされるのではと期待されていた。しかし結局、2013年のサーバー向けプロセッサとしては、5月に発表したモバイル向けのプロセッサ(Kabini)を利用したOpteron X(開発コード名:Kyoto)しかリリースされないことになった。

 Opteron Xは、APU(CPU+GPU)のX2150(TDPが11W)と、CPUだけのX1150(TDPが9W)の2つのプロセッサが用意されている。X2150とX1150は、ハード的には同じもので、X1150はX2150のGPU部分が動作しないようになっているだけだ。ちなみにAPUのX2150は、128個のRadeon HD 8000コアを搭載している。

 面白いのは、X2150、X1150の2つのプロセッサには、動作クロックによるバリエーションが存在しない点だろう。これは、BIOSにより動作クロックを変更できるためで、動作クロックを変えることにより、消費電力も変動する。

 X2150は、1.1GHz(11W)~1.9GHz(22W)に変更できる。X1150は、1.0GHz(9W)~2.0GHz(17W)に変更可能。将来的に2.0GHz以上で動作するプロセッサが提供できるようになれば、もう少し動作クロックが引き上げられる可能性もある。この場合、動作クロックが上がれば、さらに消費電力が高くなる。

Opteron Xは、モバイル向けに開発されたJaguarコアを4つ搭載している。モバイル向けのKabiniをそのままOpteron Xに流用している
Opteron Xがターゲットにしているマーケットは、Webホスティング、ビッグデータ、マルチメディアなどとなっている

 なおOpteron Xは、HPが発表した高密度サーバーのMoonshotに採用されることが決定しており、まだ発表されてはいないが、AMDが買収した高密度サーバーベンダーのSeaMicroの製品にも搭載されてくるだろう。

 2013年には、現在のメインストリームのOpteron 6300/4300/3300などは、一切アップデートがないため、省電力のOpteron Xを利用した高密度サーバー分野に注力することになる。

Opteron Xは、Intelのサーバー向けAtom S1200の2倍以上のスループットを持っているとAMDでは主張している
Opteron Xは、メモリ容量、メモリのスピードともにAtom S1200を上回るという

(山本 雅史)