仮想化道場
苦難の2013年を越え、輝かしい2014年に賭けるAMD (輝かしい2014年に向け、省電力APUで新しいサーバー分野を切り開く)
Opteron Xの後継、サーバー向け64ビットARM、現行Opteronの後継の3ラインを提供へ
(2013/7/2 00:00)
輝かしい2014年に向け、省電力APUで新しいサーバー分野を切り開く
その意味で注目したいのは、Opteron Xの後継プロセッサとなる開発コード名「Berlin(ベルリン)」だろう。
現行のOpteron Xは、モバイル用のKabiniを流用しているため、Jaguarコアを4つ搭載していた。しかしBerlinは、次世代のSteamrollerコアを4つ搭載したプロセッサになっている。さらに、BerlinはAPUとなっているため、GPU部分も搭載されている(製造プロセスは28nm)。
統合されるGPUの世代に関しては明確にされていないが、Opteron Xで採用されたHD8330(デスクトップではHD7900世代)と同じGPUコアが採用される可能性が高い。ただし、Opteron Xは、128個のGPUコアを搭載していたが、Berlinでは512個のGPUコアを搭載する予定で、コア数が4倍になっている。
AMDではBerlinについて、パフォーマンス/ワット性能では、現行のハイエンドモデルであるOpteron 6386SEに比べると7.8倍になると説明している。
また特に注目すべきは、Berlinが、サーバープロセッサにおいて初のHSA(ヘテロジニアス システム アーキテクチャ)を採用した製品になること。つまりBerlinは、GPUとGPUが同一のメモリ空間に均一的にアクセスできる、hUMA(ヘテロジニアス ユニファイド メモリ アクセス)アーキテクチャをサポートする製品となる。サポートされるメモリ容量も、現行Opteron Xの2倍の64GBになる予定だ。
なおBerlinは、全く新しいプロセッサと紹介されているが、基本的にはデスクトップ向けのAPU「Kaveri(開発コード名)」をそのままサーバー向けに流用しているといえる(Kaveriの省電力版)。
リリースに関しては、2104年の上半期を予定している。デスクトップ向けのKaveriが2014年の春以降といわれているため、Kaveriと同じタイミングでBerlinも発表されるだろう。
Berlinは、HPCで必要とされているGPGPUを本格的に利用できるサーバー向けプロセッサとして注目されるだろう。HPの高密度サーバーMoonshotなどで採用されれば、1台のサーバーに40個ほどのプロセッサ(全体で160コア)、2万480個のGPUコアを持つサーバーが実現する。
これなら、HPCクラスタとしてある程度の性能を持つサーバーとなるだろう。最先端のスーパーコンピュータには追いつかないが、コストパフォーマンスを考えれば、GPGPUを使った新しい分野のサーバーとして定着するかもしれない。