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APUとHSAでコンピューティングを変えるAMD (2014年のAMDロードマップは?)

2014年のAMDロードマップは?

2014年のAMDのサーバー向けプロセッサのロードマップ。6月からそれほど変わっていない

 2014年のAMDのサーバー向けプロセッサのロードマップは、6月に公開されたロードマップと大幅には変わっていない。

 2014年1月にデスクトップ向けのAPUとしてリリースされるKaveriをサーバー用に転用したBerlinが、Kaveriと近い時期に登場するだろう。Berlinはシングルソケットのサーバー用プロセッサとなる。

 2ソケットや4ソケット向けには、現在のOpteron 6300/4300で使用されているPiledriverコアをチューンアップしたWarsawが用意されている。Warsawは、32nmプロセスで製造されるため、コア数も12/16コアと、現在のOpteronとあまり変わらない。性能的にも、現在のOpteronから大幅にアップすることもないだろう(消費電力は低減されと予想されている)。

 AMDでは、APUとHSAへと大きくかじを切ったため、サーバーのメインストリーム市場においても、APUを普及させていきたいと考えているのだろう。しかし、2Pや4Pに対応したAPUがリリースできるようになり、企業のアプリケーションがHSAに対応して、AMDのAPUで動作させるメリットが出てくるまでは、まだまだ時間が必要だ。

2014年のAMDの組み込みプロセッサのロードマップ。基本的に、KaveriとSeattleとJaguarを流用している
モバイルでは、Jaguarコアを進化させたPumaコアを採用したBeemaとMullinsというAPUが用意されている。これらのAPUは、サーバー分野への応用は表明されていない

 そうした中で、2014年には、AMDにとって、もう一つ大きなトピックがある。64ビットARMコア(A57)を採用したSeattleのリリースだ。

 Seattleは、ARMコアだけでなく、10Gigabit Ethernet、AMDが買収したSeaMicroのFreedom Fabricなどの機能を取り込んだSoCとなる。2014年にリリースされるSeattleでは、GPUを取り込んだAPUとはならないようだ。ただ、2014年以降には、GPUを取り込みARMプロセッサもAPU化していくだろう。

 実際、64ビットARMをサポートするLinuxの開発を加速していくとRed Hatが表明している。さらにOracleでも、64ビットARM版Javaを2015年に提供していきたいとしている。この段階では、ARM版JavaでのHSAは限定的なサポートになるが、その後、Java 9のリリースに合わせてフルサポートになるだろう。

OracleとARMは、2015年には64ビットARMのLinuxに対応したJavaのリリースを予定している。HSA対応は、その後になるだろう

 2014年は、AMDのx86ベースのKaveriを筆頭として、ARM陣営からもHSAベースのプロセッサがリリースされてくると予想されているように、HSAをフレームワークとして利用したAPUは、AMDだけでなくARM陣営にとっても大きなターニングポイントになるだろう。

 ただ、2014年はHSAのハードウェアプラットフォームがやっとそろう段階になるため、OSやミドルウェア、ソフトウェアフレームワークなど、さまざまな部分のソフトウェアがそろい、本格的にHSAを利用したアプリケーションがリリースされるのは、早くても2015年や2016年になるのかもしれない。

 先日、Hadoopのディストリビューションを行っているClouderaのCTO Dr.Amr Awadallah氏にインタビューしたときには、2年後にはHadoopにとって大きな変革が訪れると語っていた。もしかすると、GPUによってHadoopのビッグデータ処理が大幅に高速化されることを指摘している可能性もあるだろう。

山本 雅史