Infostand海外ITトピックス

5Gの年になる? モバイル通信業界を席巻するクラウド

「5G SA」への移行と「プライベート5G」の大市場

 5Gのコアネットワークは、「5GC」(5G Core)という仕様だ。Webや端末アプリケーションと同じく「マイクロサービス・アーキテクチャ」(MSA)を採用し、制御信号もWebベースのインターフェイスで処理する。通信を「コンピューター化」すると言ってもよいだろう。

 だが、第一段階の5Gは、4Gの設備が混在する中で運用しなければならなかったため、「NSA (None Stand Alone)」という方式で構築された。NSAは、4Gで使われる「LTE」(Long Term Evolution)で制御信号を処理する。

 こうして過去数年間は5G NSAの時代が続いたが、現在、5G SAへの移行が世界で本格化している。

 モバイル通信業界団体GSA(Global mobile Suppliers Association)が今年1月にまとめたレポートによると、2021年末現在、試験、計画などで5G SAに投資している事業者は、世界50カ国99に上るという。クラウドを基盤とする動きも活発だ。

 それとともに、新たな市場として注目されているのが、企業向け5Gネットワークの「プライベート5G」だ。5G SAで初めて可能になる機能「スライス」を利用し、公共5Gネットワークの一部を切り出して企業・組織に専用ネットワークとして提供する。5Gで構築するVPN(仮想専用ネットワーク)のようなイメージだ。

 高速、低遅延、大容量といった5Gの特徴を持ち、セキュリティの強固さも売り物としている。英EconomistグループのEconomist Impactの調査レポート(英米日独のCIOおよび上級意思決定者216人が対象)では、回答者の9割が「プライベート5Gは標準的なネットワークの選択肢になる」と予想。導入を計画している企業の半数が2年以内の予定と答えた。