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立ちはだかる多くの難関 NVIDIAのArm買収

各国の独禁当局が動き出す

 大型買収には独禁・反トラスト法の規制がある。影響を受ける各国(米、英、欧州、中国など)の当局が調査しており、具体的な動きもいくつか伝えられている。

 Bloombergなどによると、今年1月から2月にかけて、英競争・市場庁(CMA)、米連邦取引委員会(FTC)、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)も、それぞれ独禁法に基づく予備調査に着手したという。

 各国とも、GAFA各社の独禁法調査を進めており、NVIDIAの案件も並行して審査されることになるようだ。Baiden民主党政権に交代した米国、技術覇権で盛り返したい欧州など、いずこも巨大プラットフォーマーへの風当たりは強く、急伸するNVIDIAに対しても同じだ。

 とりわけArmの本拠英国では、買収に厳しい声が出ている。

 前身のAcorn Computersの共同創業者で、そこからArmを独立させた“産みの親”Hermann Hauser氏は、正式発表前から、「Armの中立性が失われる」「欧州の技術主権が失われる」として強く反対している。起業家の同氏は、EUがイノベーション推進で設けた「欧州イノベーション会議(EIC)」の副議長も務めている。

 Hauser氏は5月はじめ、Telegraph紙に対し、Arm技術を採用したNVIDIAの「Grace」が「不公平な競争になることを示すもの」と述べ、「GraceとGPUとの間の独自のインターフェイスが顧客の囲い込みにつながる恐れがある」と主張した。

 Graceは独自のGPU接続技術「NVIDIA NVLink」を採用しているが、NVIDIA側は「Graceは、買収合意のずっと前から利用可能だったライセンス技術で開発に取り組んできたもの」と反論している。