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SASとMicrosoftが提携 アナリティクス大手を同盟に加えたAzure

SASの弱みと課題

 他の古参ソフトウェア企業と同様、SASもオンプレミスの世界からクラウドへの移行を図っている最中だ。主力のアナリティクスツールセット(SAS Analytics)に加え、2016年に発表したインメモリ解析プラットフォームの「SAS Viya」によって、クラウド対応を進めている。

 Gartnerでアナリティクスとデータサイエンス担当アナリストを務めるJim Hare氏は、「この提携によって、SASは自社のクラウド製品の認知を高めることができる。顧客がオンプレミスからクラウドへ、迅速かつ簡単に移行できるようになる」とTech Republicにコメントしている。

 提携とSASが抱える課題を分析したZDNetは、次期「Viya 4」がクラウドネイティブの要素を取り込むことに触れながら、提携は「SASの顧客が、クラウドの受け入れを支持するのか」との疑問に答えるものとする。

 SASの長期顧客はプラットフォームの変更を迫られているが、方法はさまざまだ。「いま、使っているからといって、そのまま使い続けるのが、最善の選択肢とは限らない」と言い、AWSといった選択肢もあることも暗に示す。

 またZDNetは、SASが直面するもう1つの課題も指摘する。すなわち、同社には大企業の意思決定支援をする大勢のスペシャリストを抱えているが、近年、若い世代がデータサイエンス分野に増えることで、オープンソースの人気が高まっていることだ。

 こうした変化を受け、SASもViyaでPythonをサポートするなど、過去の閉鎖的な姿勢を柔軟に変えつつある。だが、「(アナリティクス担当者の)世代が交代するときに、AutoMLやその他のデータサービスがクラウドにたくさんある中で、大企業がSASを使い続ける理由はどこにあるのか」と述べている。

 クラウドは、ソフトウェアベンダーの戦略を大きく変えている。Evans氏は、Microsoftに、「顧客との相互利益のため、AWSと取引する道を考え出して欲しい」と期待を語る。MicrosoftとAWSはサービスの重複もあるが違いも多く、MicrosoftとGoogleよりも提携の可能性があると考える。「クラウド戦争において、勝利の最終定義は顧客の成功なのだから」(Evans氏)という。

 Microsoftは宿敵Oracleとも手を組んだ。もっと意外な動きが起こることもありうるというのだが――。