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欧州のクラウドイニシアチブ正式発表 「GAIA-X」2021年にスタートへ

 欧州のクラウドプロジェクト「GAIA-X」がいよいよ立ち上がった。米国と中国主導で進むクラウドとAIに対して、欧州の枠組みを作り出すもので、企業は欧州のデータ保護の下で、クラウドを活用したデジタル戦略を進めることができる。「AIのエアバスを目指す」という野望は実現するのか?

ドイツとフランスが主導

 ギリシャ神話の大地の女神「Gaia」の名を冠した壮大なプロジェクトは2019年10月末、ドイツ・ドルトムントで開催された「Digital Summit」で発表された。

 欧州連合(EU)など欧州の動きに特化したニュースサイトEuroActiveによると、GAIA-Xはドイツ政府が発案し、その後フランス政府、欧州連合も賛同したという。ドイツのPeter Altmaier経済・エネルギー相は「ドイツはデジタルの主権を主張する。クラウドソリューションが米国で作られたものだけでないことが重要だ」と述べた。

 当時、プロジェクトの正式な設立は2020年春としていた。そして6月4日、予定通りAltmaier経済・エネルギー相と、フランスのBruno Le Maire経済財務相がそろってGAIA-Xの概要を説明した。

 ベールを脱いだGAIA-Xは、コンピューティングサービスを集約するプラットフォームだ。それ自体はクラウドサービスを提供せず、フェデレーション型のIDとアクセス管理、全プロバイダとサービスのカタログ、データの主権的なやりとりのための仕様とソリューションを定義する。これらの条件を満たすクラウドを提供するプロバイダが参加できる。

 GAIA-XのWebサイトでは、「欧州のための、欧州によるプロジェクトだ。欧州のデータインフラに必要な共通の要件の開発を目標とする」と記している。これによって、「信頼性があり主権的な欧州向けのデジタルインフラを開発する」という。

 合わせて、GAIA-Xを進める非営利組織Gaia-X FoundationをEU本部のあるブリュッセルに設立したことも発表した。Deutsche Telekom、Orange、SAP、Bosch、Siemensなどの欧州地元企業を中心に、300以上の企業や組織が参画している。