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Microsoftが逆転獲得 国防総省のJEDIクラウド契約

紆余曲折

 ペンタゴンの計画は民間のエンタープライズクラウドを軍事作戦の基盤として導入するという意欲的なものだ。当初200もの企業が関心を持ったが、極めて厳しい要求のため、AWS、Google、IBM、Microsoft、Oracleという超大型企業にしか可能性がないことが分かり、うちGoogleは社内の反発を受けて自発的に参加を取りやめた。

 さらに正式発表となった調達基準では、IBMとOracleが仕様を満たせなかったとして脱落。AWSとMicrosoftの2社が残った。その後、不当に競争から排除されたなどとしてIBM、Oracleが異議を申し立て、Oracleは、AmazonとDoDの不当な関係を連邦裁判所に訴えるなど徹底抗戦したが、最終的に全ての訴えは退けられた。

 また、DoDの選定プロセスについては、ロビー活動も繰り広げられ、下院共和党の議員が、公正性の調査完了までプログラムを延期するよう求める書簡を大統領に送付。逆に軍関連委員会の議員が、クラウド化は緊急の課題であり、契約は早期に進めるべきだと主張するなど、延期、推進の動きが入り乱れた。

 政府側にも混乱があった。DoDは今年8月、新国防長官に就任したMark Esper氏による契約プロセスの精査が完了するまで選定を先送りすると発表した、しかし、10月中旬、同長官の息子が以前、入札に参加していたIBMに勤務していたことが判明。利益相反の恐れから、Esper長官は関与しないことになった。プロジェクトの迷走が続いた。

 New York Timesによると、今回の決定に対して、防衛関係の議員からは肯定的な反応が出ているという。理由は、契約が最終的に発行されたことに安堵したためだとしている。