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Azureが「S/4HANA」の優先クラウドに SAPとMicrosoftが提携強化

 ERP大手のSAPがMicrosoftとの提携を拡大した。オンプレミスからクラウドへと転身を図るSAPは、「Microsoft Azure」を優先パブリッククラウドと位置づけ、「S/4HANA」など主力製品を容易にクラウドで利用できるようにする。SAPにとっては、顧客のクラウド移行への対応。Microsoftにとっては、Azureの拡大というメリットがある。

「Project Embrace」

 両社の提携は、2019年5月にSAPが発表した3大パブリッククラウド(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud)との提携をさらに深化させるものとなる。

 SAPはこのとき、「Embrace」と呼ぶコラボレーションプログラムを発表した。主力のERP「S/4HANA」のクラウド移行を支援するもので、顧客の業界や背景に即したクラウド環境に移行できるよう、クラウド事業者のプラットフォーム、ソフトウェア、サービス、インフラストラクチャーなどを推奨するものだ。

 新しい提携でSAPは、Microsoft Azure上でのS/4HANA、それにPaaSの「SAP Cloud Platform」を導入するためのコンセプト化から販売までを包括的に支援する。MicrosoftはSAP Cloud PlatformのコンポーネントをAzureとセットで再販するほか、共同で業界固有のベストプラクティスやサポートも提供するようだ。

 契約は排他的ではなく、SAPは、他のパブリッククラウドの選択肢も顧客に提供するとしている。

 SAPは、業界トップのエンタープライズ・ソフトウェアベンダーとして君臨してきたが、近年、クラウドネイティブのライバルの侵食を受けている。