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Microsoftが逆転獲得 国防総省のJEDIクラウド契約

 米国防総省(DoD、ペンタゴン)の大規模クラウドシステムの契約ベンダーが決定した。勝利したのは、下馬評で有利と言われたAmazonではなく、Microsoft。最終的には“100億ドル規模”になるというエンタープライズクラウドの導入計画は当初の予定から1年余り遅れて、ようやく前進することになった。

「勝者Microsoft」

 DoDのクラウド「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)は、国防総省全体で安全な情報共有を可能にし、戦闘情報をAI処理しながら、ドローン、航空機、船舶などのさまざまなプラットフォーム間でシームレスに共有する基盤となる。計画が明らかになって約2年間、メディアも注視してきた。

 DoDが週末10月25日に発表したプレスリリースでは「契約の基本期間は2年間で、補償額は100万ドルである。計画では、その期間に約2億1000万ドルの支出があると予想している」と説明。同期間以降は10年間延長可能で、契約更新はDoDが自由裁量で選択できるため、“1社100億ドル総取り”が確定ではないことを強調している。

 また、「国防総省のニーズが多様で、単一のサプライヤで満たせないため、マルチベンダー、マルチクラウド環境戦略を継続する」と述べ、なおくすぶっている「単一ベンダー批判」に配慮。「さらなる契約の機会が期待できる」と付け足している。

 これを受けたAWSは「この決定に驚いている」「純粋に比較して詳細に評価すれば、明らかに違う結論になったはずだ」とのコメントを発表した。Reutersは、この件に近い匿名の人物の話として、同社がなんらかの異議申立を行うことを検討していると伝えている。

 一方、勝者となったMicrosoftはメディア各社の要求に対して、すぐには答えなかったが、週末になってようやく、「われわれは、DoDとの長期にわたるパートナーシップの拡大を期待している」という簡潔なコメントを発表した。