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ビズリーチ、生成AIで中途採用の即戦力化を支援する新事業「Onboard AI」を開始

 株式会社ビズリーチは15日、新事業「Onboard AI」を開始したと発表した。中途入社した人をフォローする支援策「オンボーディング」を、生成AIを使って支援するもので、AIの活用によって、受け入れる企業側のマネージャー層の負担を軽減しながら、入社した人に合った内容のオンボーディングを実現するという。

Onboard AI

 対象となる職種は営業職からスタートするが、バックオフィスやコールセンター、派遣スタッフ、フリーランスの営業スタッフなど幅広い職種で利用可能という。ビズリーチでは、プロダクトの提供、導入のためのコンサルティング、導入後の支援という三つのビジネスを実施していく計画だ。

 ビズリーチ 代表取締役社長の酒井哲也氏は、新ビジネス開始の狙いについて、「中途採用者であるキャリア人材の採用は年々増加し、企業の採用計画では新卒採用を上回る数となっている。しかし、定着せずに早期退職してしまうケースも多いが、その最大の要因は、トレーニングが不足していたことやトレーニング内容が体系立っていなかったことだ。今回の新事業では、キャリア人材を採用するだけでなく、採用後に即戦力化することを目指す」と説明した。

株式会社ビズリーチ 代表取締役社長の酒井哲也氏

採用後に人材を即戦力化するための支援を提供する

 ビズリーチは、転職サイト「BIZREACH」をはじめ、OG/OBの訪問ネットワークサービス、社内版ビズリーチ、人材活用プラットフォームなどのサービスを提供している。

 新事業は、中途入社人材を採用する企業が増えているものの、アンケートでは、入社半年以内に早期離職した人がいたと答えた企業が60.3%となった。その理由について、入社から3カ月以内に退職した人にアンケート調査を行ったところ、「トレーニング不足」「受けたトレーニングが体系化されていなかった」といった回答が60%を占めたという。

 こうした状況を踏まえ、ビズリーチの酒井社長は、「中途人材の採用だけでは価値が限られてしまう。採用後に、人材を即戦力化するような支援を行うことが必要だと考えた」と、新規事業Onboard AIを始める狙いを話した。

 Onboard AIは、学際情報学を研究する立教大学経営学部 田中聡准教授の協力のもと、開発したフレームワーク「ACEモデル」をベースに、Ability(技術学習)、Culture(文化適応)、Expectation(役割理解)を進める。

 Abilityでは、社会人としての基礎的な力、業界に適応する知識、顧客獲得スキルなど営業知識などの技術学習を提供。Cultureでは、企業の方向性や行動指針など根本の理解、コミュニケーション流儀や仕事の進め方、上司・同僚・他組織の人との人間関係構築などを行う。Expectationでは、評価制度や目標、期待されている役割の理解、短期・中期・長期といった時間軸ごとの期待の把握、明確化したキャリアプランと業務とのひも付けなどを行っていく。

ビズリーチ独自のフレームワーク「ACEモデル」

 マネージャーに対しては、中途入社した人が学ぶためのレッスンコンテンツ等の作成、そのベースとなる企業内の資料の管理といった作業をOnboard AIが支援する。AIがそうした資料に基づいて学習コンテンツを作成。中途入社した人は、自分に合ったペースで自律的に学習する。

 また、AIが学習状況を分析して、個々の課題に合わせた学習メニューや理解度に合わせた復習コンテンツを用意するとともに、AIが学習の進捗をマネージャーと共有し、適切な個別フォローを可能にする仕組みを用意した。さらに、オンボーディングの進捗や学習の理解度をデータで可視化するなど、マネージャーの個別フォローがやりやすくなるような支援も実施するとのこと。

再現性の高い形でオンボーディングを仕組み化

 「企業のマネージャーは大変忙しい。コンテンツ作成のために時間を割いたり、日報を確認したりといった作業が大きな負担となっている。中途入社した人にとっても、日報の作成や学習のために時間をとることは容易ではない。そこでAIを活用し、それぞれの負担を軽減しながら、適正なコンテンツの作成、および日報の作成やチェックを行っていく」(ビズリーチ Onboard AI事業責任者の茂野明彦氏)。

株式会社ビズリーチ Onboard AI事業責任者の茂野明彦氏

 ACEモデルに基づいた機能群としては、知識定着のためのクイズやロールプレイングといった学習機能、文化適応のために「脱色」を促す伴走機能、組織力強化のためのコミュニケーション機能などがある。

 また、ACEモデルに基づいたオンボーディングコンサルティングも提供する。企業のオンボーディングプランをACEモデルで評価し、研修プログラムの過不足を可視化するほか、AIとコンサルタントが、不足しているコンテンツの作成を支援するという。なお、作成には、オンボーディングの成功パターンを抽出・分析した結果も活用するとした。

「Onboard AI」の機能・役割

 このほか、ACEモデルに基づいたスコアリングも提供する予定。Ability・Culture・Expectationを独自の評価ロジックで採点し、オンボーディング状況を数値化する。マネージャーは、そのスコアを見ながら個別フォローを行うことで、成果リスクや離職リスクを最小化していく。

【今後実装予定】オンボーディングサーベイ機能

 「通常業務で忙しいマネージャー層が、Onboard AIを使うことで教育や育成にかける時間を最適化し、それまでは難しかった大規模マネジメントを行える世界を実現していきたい。将来的にはオンボーディングデータを採用活動に活用することや、社内の異動や配置に適用していく世界を実現したい」(茂野氏)。

 対象となる職種は、営業からスタートし、バックオフィス、コールセンター、さらに派遣業やフリーランス営業職などにも今後拡大していく計画。「当社では提供していない派遣業などでも活用できるが、当社自身が派遣事業などに進出するための新事業ではない」(酒井社長)としている。