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東海大学とNEC、「大学向けデータ利活用基盤PoC」協創プロジェクトを実施
2026年4月28日 14:37
東海大学と日本電気株式会社(NEC)は、教学IR(Institutional Research)領域におけるデータ利活用の高度化を目的とした協創プロジェクトとして、「大学向けデータ利活用基盤PoC」を共同で実施したと発表した。
教学IRは、大学の教育・学修・運営に関する情報を体系的に収集・分析し、客観的な根拠に基づいて教育の質向上や大学運営の改善を図る取り組み。
大学を取り巻く環境は大きく変化しており、教育の質保証、学生の成長把握、大学経営の高度化に向けて、データに基づく意思決定の重要性が高まっている一方で、多くの大学では、学務・教学データが部門ごとに分散し、十分に利活用できていないという課題を抱えているという。
また、NECは、教育DXの支援に向けて価値創造モデル「BluStellar」のもと、大学向けのBluStellar Scenarioである「データ活用により多様な学生が学びを選択できる教育環境」に取り組んでいる。
そこで東海大学とNECは、単なるシステム導入ではなく、大学が本当に取り組むべき課題を起点とした「協創プロジェクト」として、PoCを開始した。
PoCは、教学IR領域におけるデータ利活用の高度化を目的とした協創プロジェクトとして、ワークショップを通じて、教学IR領域における代表的な課題を明確化し、データ利活用の観点から整理・構造化することや、抽出した課題の解決に向けて、データ利活用基盤を構築し、実データを用いた検証、プロジェクトを通じて、大学におけるデータ利活用の技術面および実運用面での効果と課題の整理を行った。また、PoCではデータ利活用基盤としてMicrosoft Fabricを採用した。
実証では、東海大学の経営層を含む関係者とNECが共同でワークショップを実施し、教学IR領域において取り組むべき課題の探索と目的の設定を行った。
その結果、大学の教育活動・学生支援・大学運営の観点から、KGI/KPIツリーとして構造化した4つの主要課題として、「進路・キャリアアウトカム分析(就職率の増加)」「学生行動と成果のマッチング(中退/留年者の減少)」「入学時要因と学習成果の関連分析(学生属性と授業評価)」「学生の成長に対する大学の教育価値のエビデンス化」を具体化した。
これにより、「何のためにデータを使うのか」「どの指標を見るべきか」を関係者間で共通認識として持つことができた。
さらに4つの課題の解決に向けて、NECはさまざまな業種で培ったノウハウと文教領域の知見を生かし、データ利活用の定着化支援として東海大学と共に、教学IRに必要なデータの整理・定義や、課題解決につながる分析ロジックの開発、分析結果を関係者が直感的に把握できる可視化機能の実装の検討を進めた。
データ定義・分析ロジック・可視化機能を一体化した「教学IRの分析モデル」は、ワークショップから連続したコンサルタントとエンジニアの伴走によって創出された。この分析モデルの構築により、データ分析を単発の分析にとどまらせず、継続的に活用可能な形で実施できる基盤として整備した。
PoCを通じて、教学IR領域において、これまで個別・断片的であったデータを横断的に分析できるようになったことや、課題とKPIを起点にした分析により、教育施策や学生支援の検討に活用可能な示唆が得られたこと、分析結果を可視化することで教職員間の共通理解や議論が促進されたといった価値を確認した。
さらに、これらを通じたデータを活用した教学IRの検証を継続的に実施できる状態を構築できた点が、大きな成果となったという。
東海大学とNECは、PoCで得られた成果と課題を、AI活用を含む将来の教学IRの高度化に向けた「土台」として、今後も段階的に発展させていく。4月以降に、他の利用シーンの検討やPoCでの成果を実務に適用できるかなどの検討を予定している。
NECは、今回の取り組みで得た知見をもとに、他大学にも展開可能なデータ利活用支援サービスとして提供し、大学DXの推進に貢献していくとしている。