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富士ソフト、2026年度からの新体制「Gen.2」を始動――2028年度に営業利益500億円超を目指す
2026年4月28日 12:12
富士ソフト株式会社は27日、2026年度から実施している新体制を発表した。2025年、東京証券取引所に上場していた株式の上場廃止を行い、経営陣を刷新。今回、2025年7月に代表取締役 社長執行役員に就任した室岡光浩氏のもと、ビジネスユニット(BU)制、専門知識を持ったCxO制など、新しい経営体制を導入した。
室岡社長は、「富士ソフト Gen.2として、富士ソフトの第2世代をスタートした。2026年は、新たな成長に向け中期経営計画の土台作りの年としていく。新たにスタートした3つのBUが成長に責任を持ち、CxOが変革と規制をきかせることで、グループ全体で再現性ある成長を実現する。2028年に調整後営業利益500億円以上を目指す」と、今年度からの新体制によって成長を加速させる姿勢を強調した。
9つの事業本部を3つのビジネスユニットに統合
2025年に富士ソフトに入社し、代表取締役 社長執行役員に就任した室岡氏は、「富士ソフトに来ることを決めたのは、戦える素材と能力がしっかりと育っていると確信できたから。日本発のITデジタル企業として新しいロールモデルを示すことができる」と、富士ソフトが高いポテンシャルを持っている企業だと感じたことが入社を決める要因となったと説明した。
1970年に創業した富士ソフトは、従業員数2万627人、2025年12月時点の連結売上高は3340億円。これまで、「インダストリー事業本部」、「ASI(Automotive System Integration)事業本部」、「エリア事業本部」、「公共システム事業本部」、「金融事業本部」、「システムインテグレーション事業本部」、「ソリューション事業本部」、「ネットソリューション事業本部」、「プロダクト事業本部」の9つの事業本部があり、それぞれの事業本部ごとに営業本部がある体制だった。
室岡社長はこれまで培ってきた事業と実績が大きな強みではあるものの、「富士ソフトを取り巻く環境が大きく変化している。チャンスを生かすために、ITとOTにAIを統合し、ビジネスモデルを変革する必要がある」として組織変革を実施した。
具体的には、従来の9つの事業本部を、「組込/制御ビジネスユニット」、「ソリューションビジネスユニット」、「社会インフラビジネスユニット」という3つのビジネスユニット(BU)に統合した。BUについてはCo-COOが統括し、CROのもとで全ビジネスユニット共通の営業本部が設けられる。また、CMOのもとでマーケティング組織が専門知識を深化しながらビジネスを共創していく。
BUを導入した狙いについて、取締役 専務執行役 Co-COO(Business Operations)ソリューションビジネスユニット長の大迫館行氏は、「業界動向・専門知識を深掘りし、リソース配置の最適化と研究推進、BU横断でのシナジーの最適化という3つが大きな目的となる」と前置き。
そのうえで、「今回のBU制において、組込/制御BUは、当社の強みである組込開発で自動車、そしてほかのロボットを含めてまとめた。ソリューションBUは業務系開発(を手掛ける)。さまざまなメーカーのソリューションを手掛けた実績があり、それを組み合わせ、ビジネスをしていくことを目指したユニットとなる。社会インフラBUは、官公庁および電力など社会インフラを担当する。各ドメインのシナジーを目指すとともに、3つのBUでデータから装置、アプリケーションまでを一気通貫で作り、意思決定を行っていける体制となったと考えている。営業部隊については、事業本部ごとに営業本部を持っていたが、今回、共通の営業を行う体制としたことで、営業効率と新しいビジネスの可能性を探っていきたいと考えている」と説明した。
クロスマトリックス経営については、常務執行役員 Co-COO CFOの小野健二氏があらためて説明を行った。
「縦で稼ぎ、横で鍛え、中央で回す――これが基本的なコンセプト。この仕組みを通じ目指すのが、変化に強い組織だ。そのために重要となる1つ目が、既存事業の高度化。各BUがこれまで培ってきた強みや現場力を生かして品質や付加価値を高めていく。2つ目が新たな価値の共創。BUやグループ会社を超えて技術、人材、知見を組み合わせることで、1つの企業、事業では生み出せなかった新たな価値を作っていく。これを偶然ではなく仕組みとして回せる組織としていく。3つ目が、量から質への転換。単に案件の多さ、人間を積み上げるのではなく、全体としてどこの領域に投資し、どこの領域で価値を伸ばしていくかを考え、質の高い成長につなげていくことを目指す。この3点をうまく回していくために、財務、営業、マーケティング、人材、技術といった領域は、CxOが各BUやグループを横断して責任を持つ体制にしている」という。
さらに、各CxOの役割については「CFOが財務戦略やグループマネジメントで投資判断、資本技術を、CROが営業横断でのキーアカウントやパイプラインマネジメントを、CMOが市場やブランディング、CHROが人材戦略やエンゲージメント、CTOが戦略とエンジニアの育成を担当。それぞれの専門性で企業の判断を支え、整えていく」と述べている。
そして、Co-COO自身の役割については、「CxOの動きを経営全体として連動させ、個々の事業判断を生かしながらグループとしての全体最適が取れる状態を作っていく。コントロールと言っても、現場を縛っていくのではなく、選択肢を整理して見通しをよくし、意思決定を早くする体制を作る。その結果として、個別個別適と全体最適が事前にかみ合う状態を作り上げていく。このクロスマトリックスによって、富士ソフトは、既存事業の強さを土台にしながらも新しい価値を生み出し続ける変化に強い組織へと変わっていく」と説明した。
こうした経営体制を変えていくとともに、富士ソフトの強みとして、AIに加え、もともとの強みであるIT、OTを統合して提供する。室岡社長は、「これができる企業は、日本では数少ない」と述べ、これまで培った強みだとアピール。さらに、「フィジカルAIのように、AI技術だけでは完結できないものについては、ITとOTを組み合わせて提供できることが強みとなってくる。さらに、オファリング化による技術資産のレバレッジと再現性を高めていく」とした。
こうした取り組みによって、2026年は戦略と組織の基盤作りを進め、2027年には成長エンジンの確立、2028年からはVisionの実現を進め、連結営業利益500億円以上を目指していく。現在の営業利益が240億円となっていることから、これを倍増することになる。「シェアを拡大し、業界成長を上回る成長の実現を目標とする」(室岡社長)という。
なおIT人材については、AIの台頭により米国で人材縮小を進める企業が出るなど、従来のように「IT人材不足」とはいえない状況も起きている。富士ソフトでも、過去8年間800人採用していた新卒者を今年度は半数に絞り込んだ。
「ビジネスを行う相手からのオファーが、高度人材を出してほしいといった内容に変わってきている。今後、人材採用をどうしていくのかについては、社内でも議論を行っている最中。人材教育についても、従来通りでよいのか議論を進めているところだ」と室岡社長は話している。






