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日立の2025年度連結業績は増収増益、「Inspire 2027」が順調に始動
Lumada事業の拡大によって全社の売上成長と収益性向上が両立
2026年4月28日 00:00
株式会社日立製作所(以下、日立)は、4月27日に開催した2025年度連結業績発表の中で、経営計画「Inspire 2027」の進捗について説明した。
日立の德永俊昭社長兼CEOは、「Inspire 2027で目指す日立の持続的成長に向けて、順調な立ち上がりをみせている」とし、「Lumada事業の拡大によって、全社の売上成長と収益性向上が両立している。特に、HMAXが本格始動するなど、急拡大するAI市場が日立の成長を加速している」と、初年度の成果に手応えを示した。
Inspire 2027では、経営指標として、2027年度まで売上収益の年平均成長率7~9%、Adjusted EBIT率13~15%、CFコンバージョン90%超、ROIC12~13%のほか、Lumadaの売上収益比率50%、LumadaのAdjusted EBIT率18%を掲げている。
2025年度実績では、売上収益は前年比8.2%、Adjusted EBIT率は12.4%、ROICは12.4%と計画値を達成。CFコンバージョンは103%と計画を超過。Lumadaの売上収益比率は40%、LumadaのAdjusted EBIT率では16%と、計画達成に向けて着実な一歩を踏み出している。
また、「不断の事業ポートフォリオ改革の実行」の成果として、建設機械、空調、自動車部品事業における少数持ち分株式の売却や、家電事業およびATM事業の再編も実施。エナジーセクターでは、Shermcoの買収による北米でのサービス事業の拡大、synvertの買収によるHMAX拡大のためのAI開発力の強化にも取り組んでいることを強調した。このほかに、エナジーセクターの生産能力の増強や、デジタルシステム&サービス(DSS)セクターでのLumadaおよびHMAXへの開発投資として約5000億円を投じたことにも触れた。
説明のなかでは、「社内では、Inspire 2027の目標を上方修正する議論があった」と明かしながら、「中東リスクの先行きがまったく読めない。そのなかで上方修正するのは難しい。だが、事業が堅調に推移するのであれば、今後の決算発表のタイミングでアップデートすることも考えたい。大きな下振れリスクはない」と語った。
「Lumada 3.0」と「HMAX」が牽引する社会インフラ×AIの融合
德永社長兼CEOは、Lumada 3.0の説明について時間を割いた。
「日立の持続的成長を牽引するエンジンがLumadaである。そして、日立はLumada 3.0によって、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーを目指している」と位置づけ、「2016年にローンチしたLumadaはLumada 3.0に進化し、AIとドメインナレッジの活用が特徴になっている。Lumada 3.0では、日立が注力しているエナジー、モビリティ、インダストリー、デジタルの4つの事業領域における基本的なビジネスモデルになる」と定義した。
その上で、「4つの事業領域において、グローバルに展開するプロダクトやITシステムのインストールベースがデジタライズドアセットになる。また、デジタライズドアセットから稼働データを収集し、ドメインナレッジで強化したAIで分析することで、経営課題や社会課題を解決する日立独自のデジタルサービスを提供することができる。さらに、日立のデジタルサービスが、日立のプロダクトのさらなる拡販や、他社のプロダクトまでを含めてデータ収集・解析へとつながり、デジタライズドアセットの拡大を加速する。これが、Lumada 3.0で目指している基本的なモデルになる」とした。
また、「Lumada 3.0のデジタルサービスの代表例がHMAXである」と述べ、「HMAXは、社会インフラを革新する次世代ソリューション群であり、リカーリングサービスとなる。すべてのセクターにおいて、HMAXの適用実績が拡大している。経営課題、社会課題に資するサービスであり、『Adjusted EBIT率20%以上でないとHMAXとは呼べない』と社内では話している」などと述べた。
德永社長兼CEOが、「今後の成長機会」に位置づけたのがAIである。「AIは、新たな巨大な成長市場を創り出しつつある」とし、「自律的に判断・実行するAgentic AIと、物理的な世界に働きかけるPhysical AIがともに進化しており、2030年のAIの市場規模は100兆円を超えると想定している。これは、日立にとって、かつてない大きな機会をもたらすと考えている。さまざまなデータを収集し、AIで分析して、物理的な世界に働きかけるPhysical AIは、Lumada 3.0が目指している事業そのものである。AIの深化が、日立の成長を後押しするものになる」と述べた。
また、「日立は、110年の社会インフラ構築で培った高信頼プロダクトと、190カ国に広がる現場知見に基づいた制御/運用技術、80年にわたるIT事業、パートナーシップに裏打ちされた最先端のAI技術を有する稀有な企業である。これらの力を、真のOne HITACHIによって統合し、『社会インフラ×AI』によって、持続的に成長していくことになる」とも語った。
Physical AIによる新たな事業機会の創出という点では、あらためてHMAXに言及した。
「日立が『社会インフラ×AI』で成長できることの証左がHMAXの急速な拡大である」とし、HMAX Energyが電力系統の安定化を実現する価値を複数の電力会社に提供しているほか、HMAX Mobilityは進化を続け、他社製車両のデータも活用しながら、鉄道会社に対して、運用効率の最大化という価値を提供。HMAX Industryは熟練技能の再現だけでなく、自律的進化によって生産性を継続的に向上させているという。
「モビリティやエナジーでの実績は積み上がっているが、今後は、インダストリー領域においても世界ナンバーワンの実績を取りに行きたい」としたほか、「Lumada 3.0においては、複数のセグメントにおいて、同じ事業モデルを展開することで、それらのデータの組み合わせが可能になり、新たな価値を提供できる点も特徴である。HMAX Mobilityでは、エナジーセクターのデータを活用しながら、鉄道を走らせるときに最適なエネルギー消費に関する価値を提供することができる。今後は、セクターをまたがったデータ連携をサポートするような基盤を強化する必要がある」と語った。
各セクターの戦略とグローバル自律分散型経営の深化
Inspire 2027におけるセクター別の取り組みについても触れた。
DSSセクターでは、モダナイゼーションやマイグレーションを含むミッションクリティカル大規模システムの開発が伸長する一方、ITサービスや運用におけるプライシングの見直しを実施しているという。また、AIを活用したシステム開発の効率化にも積極的に取り組み、Adjusted EBIT率は15.5%(2026年度からのセグメントベース)と過去最高を更新。沖電気との戦略的パートナーシップにより、ATM事業を再編し、国内金融機関向けに安定したサービスを提供する基盤を確立したという。バックログは、前年比11.2%増の1兆8000億円となり、Inspire 2027では、売上収益の年平均成長率7~9%、Adjusted EBIT率で16%超を目指している。「持続的成長に向けた基盤の構築は着実に進んでいる」と述べた。
コネクティブインダストリーズ(CI)セクターでは、AI需要をとらえた半導体計測・検査装置事業が好調であるほか、新たにHMAX Industryをローンチし、Lumada事業を拡大。バックログは前年比13.5%増となる2兆5000億円に達しているという。先ごろ、発表した家電事業のノジマへの売却など、ポートフォリオ改革を推進。持続的成長の基盤固めを加速する姿勢を強調した。Inspire 2027では、売上収益の年平均成長率は6~8%、Adjusted EBIT率は13%超を目指す。
エナジーセクターでは、データセンターの新設や、グリッドの老朽化への対応などにより旺盛な需要があり、バックログは前年比37.6%増の10兆円に到達。生産性の向上により利益率が3.3ポイント上昇し、12.9%に到達したという。北米市場でのサービス拡大に向けた買収の成果などもあることから、今回の発表にあわせて、Inspire 2027の目標を上方修正し、年平均成長率は15~17%(2025年4月公表値は11~13%)、Adjusted EBIT率は14%超(同12%超)とした。
「データセンターに対する需要は強い。だが、エナジー全体でみれば、売上構成比は1割未満とまだ小さい。見方を変えれば、今後の成長エンジンになりうる。生産能力を高め、旺盛な需要に対応していきたい」とした。
モビリティセクターでは、タレスから買収した信号事業が好調で、バックログは前年比15.2%増の7兆1000億円となったことを報告。HMAXの強化と拡大に向けた成長投資を加速しており、OmnicomとClever Devicesを買収。Inspire 2027では、売上収益の年平均成長率7~9%、Adjusted EBIT率で11%超の達成を目指す。
新事業や新技術開発については、3つの取り組みを紹介した。
データセンターでの効率的な電力利用の実現に向けては、NVIDIAとともに、データセンター向け800V直流給電アーキテクチャの確立と事業開発を促進。また、宇宙空間からリアルタイムで社会インフラのデータを収集し、運用や保守を革新する世界初の技術を開発しているという。さらに、シリコン量子コンピューティングの開発にも取り組み、2次元での2量子ビット演算を世界で初めて実証。量子ビットの大規模化により、解決が困難であった課題に対して最適解を導出できるようになるとした。
「これらが、日立の次の成長を牽引する新事業や新技術になる」と位置づけた。
日立では、2025年4月に、戦略SIB(Social Innovation Business)ビジネスユニットを新設し、新規事業などに対して、3年間で5000億円の投資を計画しているが、「1年目が終わり、現時点での投資額は、3分の1を少し欠けるぐらいの進捗である」と説明。先に触れたNVIDIAとのデータセンター向け新アーキテクチャへの取り組みのほか、商船三井との中古船を改造した浮体式データセンター、三菱UFJ銀行とのBattery-as-a-Service(BaaS)事業などで成果があがっていることを示した。
さらに、Inspire 2027で取り組んでいるグローバル自律分散型経営の進捗についても言及。「地域6極が、自律的に事業機会を探索し、成長を追求している。海外売上収益が全社売上収益の成長率を上回っていることは、その成果の証しだ。各地域で、社会インフラ革新の大型案件も獲得しはじめている」という。
英国でのHVDC(高圧直流送電)案件では、プロジェクト総額が約6300億円、ドイツの鉄道案件では受注総額が約2800億円に達しているという。また、新たな事業探索として、北米のAIデータセンター向けのガス火力プロジェクトの送配電設備、欧州でのEV向けバッテリーライフサイクルソリューションの提案活動を進めているという。
グローバル自律分散型経営体制では、地政学リスクへの即応でも成果をあげているという。米国相互関税に対しては、価格転嫁を実施するなどの迅速な経営判断を進めたことで、2025年度第1四半期時点では300億円の影響があると想定していたものが、2025年度実績では240億円に縮小。サプライチェーンの見直しや代替調達の確保により、現地調達率を84%に拡大しているという。現在は、中東紛争による事業影響の可視化と極小化にも取り組んでいるところだという。
また、サステナブル経営の深化として、人的資本の強化を進めており、Inspire 2027では、次世代リーダー人財を1000人(2025年度実績は550人)、AIプロフェッショナル人財を5万人(同3万9000人)、従業員エンゲージメントスコアで75ポイント(同73.3ポイント)とする計画を公表。「タレントプールの拡充を着実に進めている。また、One HITACHIとしての価値創出に取り組むために、従業員エンゲージメントスコアの持続的な向上を重視している」と語った。
さらに、2026年6月からの新たな取締役会の構成では、独立取締役比率が73%、外国人比率が36%、女性比率が27%とし、「事業内容の変化を踏まえて、取締役会の独立性と多様性を継続的に強化する」と述べたほか、「報酬制度の改革を進めており、執行役員は企業価値および経営計画達成と連動した役員報酬体系を採用。2026年度からは、従業員の上位マネージャークラスの1800人に対して、株式報酬を導入する。報酬水準の向上にもつながる施策になる」とした。
説明会では、質問に答える形で、SaaS is Deadの動向についても回答した。
德永社長兼CEOは、「日立が国内で対峙(たいじ)している市場は堅調である。国内では、お客さまとSIerの仕事の分担が行われていること、日立が積み上げてきた大規模システム開発能力がプラスに作用していることが背景にある。一方で、リスクとして考えられるのは、AIエージェントの進化によって、人手でやっていた作業が置き換えられるという点である。ただ、その範囲は、コーディングやテストであること、AIエージェントの広がりによって、AIが働く場所を定義するなどの新たな仕事が発生したり、ビジネスモデルがSIからサービスに変化したりすることも想定される。中身は変わる可能性があるため、DSSでは、それに向けたトランスフォーメーションを急いでいる。だが、日立の役割は、システム全体のアーキテクチャを描き、設計し、プロジェクトをマネージする仕事であり、AIとは協働するが、なくなるものではないと認識している」と語った。
2026年度の業績見通し
日立では、2026年度(2026年4月~2027年3月)通期業績見通しとして、売上収益が前年比4.8%増の11兆1000億円、調整後営業利益は同9.6%増の1兆3150億円、Adjusted EBITは同8.3%増の1兆4200億円、税引前当期利益は同1.3%減の1兆2570億円、当期純利益は同5.9%増の8500億円とした。
日立 執行役専務 CFOの加藤知巳氏は、「エナジーのパワーグリッド事業、DSSの国内IT事業を中心に、堅調な成長を見込んでおり、すべてのセクターで増収増益を計画している。戦略投資の増額と、第1四半期の中東リスクを織り込んでも、さらなる増益を見込む」と、強気の姿勢を見せた。
Lumada事業の見通しは、売上収益が前年比16%増の4兆7900億円となり、全社売上収益に占める割合は44%と4ポイント上昇。Adjusted EBITA率は17%とした。
Lumadaの売上収益見通しの内訳は、デジタルサービスが前年比25%増の2兆2700億円、そのうち、HMAXが同22%増の4800億円。また、デジタライズドアセットは同8%増の2兆5200億円とした。
Lumada事業のセクター別売上収益見通しは、DSSが前年比17%増の2兆1990億円、Lumada事業比率が70%。エナジーは前年比13%増の8930億円、Lumada事業比率が24%。モビリティは前年比5%増の4620億円、Lumada事業比率が34%、CIは前年比15%増の1兆4160億円、Lumada事業比率が45%としている。
2026年度のセクター別業績見通しは、DSSの売上収益が前年比4%増の3兆1900億円、Adjusted EBITAは228億円増の5000億円。そのうちSI&サービスの売上収益は同79%増の1兆5300億円、Adjusted EBITAは79億円増の2340億円。エンジニアリング&サービスは同5%増の1兆7810億円、Adjusted EBITAは157億円増の2630億円。ITプロダクトは同4%減の4680億円、Adjusted EBITAは144億円増の270億円とした。
「DSSは、Lumada事業を含む、国内DX/モダナイゼーション事業の拡大と、ドメインナレッジとAIを活用したHMAXなどのサービス事業拡大に取り組む。また、ITプロダクトでは、主力のブロックストレージを中心とした拡販に注力するとともに、収益を重視した案件管理により、さらなる収益性向上を図る」とし、「今後は、日立グループにおけるOT領域やプロダクト領域のデジタル化を、HMAXソリューションの開発などを通じて牽引していく。GlobalLogicやHitachi Digital Servicesをはじめとした一貫したデリバリー体制でサポートするほか、AIの適用を徹底し、SI開発と運用の生産性をさらに向上させる」と述べた。
エナジーの売上収益は前年比15%増の3兆7000億円、Adjusted EBITAは839億円増の5000億円。モビリティの売上収益は前年比2%増の1兆3500億円、Adjusted EBITAは188億円増の1270億円。CIの売上収益は前年比2%増の3兆1500億円、Adjusted EBITAは306億円増の3710億円とした。
「エナジーでは、Microsoftの技術を、日立のLumadaソリューションに組み込む戦略的提携に基づき、Ellipse EMA(設備資産管理)ソリューションを刷新し、これを展開することになる。CIでは、日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)の家電事業の資本再編に伴う減収影響があるものの、計測システム事業、ビルシステム事業などにおけるLumadaを含むサービス事業の拡大により、増収増益を見込んでいる」
なお、中東情勢の影響については、2026年度に、売上収益でマイナス400億円、Adjusted EBITAでマイナス200億円を、悪化リスクとして織り込んだ。中東地域での大口プロジェクトの遅れや、原材料の一部での調達不足やコストアップを想定している。
「主に、エナジー、CI、モビリティを中心に影響を想定している。2026年3月からは、一部生産工程での遅延が発生しているが、現時点での影響は限定的である。今回は、中東リスクとして、第1四半期での直接影響を推定し、影響額を織り込んだ。中東情勢は流動的であり、第2四半期以降の直接影響、間接影響は織り込んでいない状況であり、引き続き注視していく」と述べた。
2025年度の連結業績
一方、2025年度(2025年4月~2026年3月)の連結業績は、売上収益は前年比8.2%増の10兆5867億円、調整後営業利益は同23.4%増の1兆1992億円、Adjusted EBITA は同21.0%増の1兆3114億円、税引前当期利益は同32.2%増の1兆2731億円、当期純利益は同30.3%増の8023億円となった。
德永社長兼CEOは、「2025年度は、米国関税の発動や世界各地での紛争の発生など、不確実性が高い環境下での事業運営となった。だが、2025年度は、Inspire 2027の初年度であり、日立の力強い成長モメンタムを示すことに全社をあげて取り組んできた。主要KPIのすべてで前年度実績を上回っている。目指す持続的な成長に向け、よいスタートを切ることできた」と振り返り、加藤CFOは、「エナジーのパワーグリッド事業、DSSの国内IT事業、モビリティの鉄道信号・制御事業が牽引し、増収増益となった。Adjusted EBITA、当期利益、コアFCFが過去最高を更新している。Lumada事業の拡大も貢献しており、Inspire 2027の目標達成に向け、期初の計画を上回る実績となった」と総括した。
Lumada事業は、売上収益が前年比48%増の4兆1460億円となり、全社売上収益に占める割合は40%、Adjusted EBITA率は16%となった。Lumadaの売上収益の内訳は、デジタルサービスが前年比39%増の1兆8220億円、デジタライズドアセットが同56%増の2兆3240億円。デジタルサービスの内数として初めて公表したHMAXの売上収益は3000億円となった。Lumada事業のセクター別売上収益は、DSSが前年比39%増の1兆8740億円、Lumada事業比率が62%。エナジーは前年比184%増の7900億円、Lumada事業比率が25%。モビリティは前年比27%増の4400億円、Lumada事業比率が33%、CIは前年比28%増の1兆2300億円、Lumada事業比率が43%となった。
HMAXの2025年度下期の成果として、エナジーセクターにおいて、エネルギーインフラ向け次世代型AIサービス・ソリューション群である「HMAX Energy」の提供を開始したほか、モビリティセクターでは、イタリア・トリノ地下鉄2号線の契約を獲得し、HMAX for Railの導入予定を発表。米Clever Devicesを買収し、HMAX Mobilityの拡大に貢献する体制を整えたことを示した。また、CIセクターでは、Physical AIによって電力需給を予測、最適化、自動制御するHMAX Industryの次世代EMS「EMilia」を、トヨタ自動車東日本岩手工場に導入したという。
なお、Lumada事業は、2025年度から区分を見直すとともに、対象事業の洗い出しを実施しており、デジタルサービスに含まれるマネージドサービス事業、ソフトウェア事業、デジタライズドアセットに含まれるプロダクトやAIを活用したSI事業などを追加したため、成長率が高くなっている。
セクター別業績は、DSSの売上収益が前年比4%増の2兆9400億円、Adjusted EBITAは559億円増の4500億円となった。そのうちフロントビジネスの売上収益は同7%増の1兆3099億円、Adjusted EBITAは340億円増の1872億円。ITサービスは同5%増の1兆1080億円、Adjusted EBITAは155億円増の1480億円。サービス&プラットフォームは同4%減の1兆827億円、Adjusted EBITAは145億円増の1109億円となった。
「DSS全体で収益性を一段と向上させることができ、初めて15%台のAdjusted EBITA率を実現した。Lumada事業を中心とした国内DXおよびモダナイゼーション事業が拡大し、国内売上収益は前年比7%増となった。国内SI案件のシステム開発にAIの適用を推進しており、平均で10%の生産性向上を実現した。また、AIによる高付加価値サービス事業の強化にも取り組んでいる。北米でのAI/ITサービスが好調であり、アウトカムベースの契約が進んでいる。その一方で、ストレージは、海外での顧客の投資抑制、ブロックストレージに集中したことにより売上収益は減少したが、コスト削減効果により収益性が改善している」という。
德永社長兼CEOは、「ブロックストレージは、日立が強みを発揮できる分野である。久しぶりに新製品を投入したこともあり、これを待っていたお客さまから強い引き合いがあり、収益改善が図れている。今後もブロックストレージに注力し、事業運営のコスト削減も行う。短期的には稼げる事業への転換を急いでいる。中長期的には、戦略的パートナーシップにより、さらなる成長ストーリーを実行する」と述べた。
GlobalLogicの第4四半期(2026年1月~3月)の売上収益は前年同期比44%増の14億2400万ドルとなった。そのうち、スタンドアローンの売上収益が同3%増の5億2100万ドル、シナジーによる売上収益が同87%増の9億300万ドルとなっている。
德永社長兼CEOは、「GlobalLogicの日本国内でのビジネスは、人が足りないという状況が生まれており、そこにAIを活用し対応しているところだ。だが、海外では、GlobalLogicが得意としてきたタイム・アンド・マテリアルが、価格プレッシャーの影響により、受け入れられにくくなっており、それがスタンドアローンの成長率の鈍化につながっている。一方で、エナジーやモビリティ、インダストリーといった日立のOTセクターにおいて、デジタル化やITトランスフォーメーションを進める上で、GlobalLogicの力が極めて重要になっている。HMAXがこれだけ急速に立ち上がったのは、GlobalLogicの力によるところが大きい。他セクターのHMAXソリューションの開発に貢献し、シナジー効果を拡大している」とし、「GlobalLogicの一定のリソースを、OTセクターのITトランスフォーメーションに振り向けることも考えている。北米市場の様子をみながら、事業モデルの変革とGlobalLogicの役割の変化という両面から対応していく」と語った。
シナジーの創出事例として、エナジーセクターでは、原子力BUとの協力により、原子力発電所を再現したメタバース基盤を開発。デジタルツインの活用によって、建設・保全の作業効率化とデータ駆動型経営の実現を支援したほか、モビリティセクターでは、同社が持つソフトウェアおよびAIの開発力や、Omnicomの買収によって獲得した鉄道監視ソリューションがHMAXのポートフォリオ拡充および事業展開に貢献したという。また、ビルシステムでは、グローバルで蓄積したアジャイル開発の実績や知見をもとに、HMAX for Buildings:BuilMiraiのas a Service化の実現を支援したという。
DSS以外のセクター別業績は、エナジーの売上収益が前年比23%増の3兆2199億円、Adjusted EBITAは1640億円増の4160億円。モビリティの売上収益は前年比13%増の1兆3215億円、Adjusted EBITAは132億円増の1081億円。CIの売上収益は前年比1%減の3兆2627億円、Adjusted EBITAは220億円増の3673億円となった。
「CIでは、半導体製造装置の販売増による収益改善や、Lumada事業の拡大により、全体の収益性が改善している」
なお、2025年度第4四半期の受注状況についても説明した。DSSは前年同期比3%増の7914億円。そのうち、フロントビジネスは同1%増の3342億円、ITサービスは同3%増の3170億円、サービス&プラットフォームは同5%増の3132億円となった。また、エナジーは前年同期比65%増の1兆3242億円。モビリティは同48%増の5640億円、コネクティブインダストリーズは同26%増の1兆35億円となった。
「DSSでは、DX/モダナイゼーション案件が増加。エナジーでは、データセンター関連需要などが増加したことで、パワーグリッド事業での成長率が大きい」という。
















