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NECの2025年度連結業績は増収増益、国内ITサービスとANSが好調で営業利益率は初の2桁に到達
2026年4月28日 19:44
日本電気株式会社(以下、NEC)は28日、2025年度(2025年4月~2026年3月)の連結業績を発表した。売上収益は前年比4.7%増の3兆5827億円、営業利益は同40.3%増の3599億円、調整後営業利益は同34.7%増の3868億円、税引前利益は同66.1%増の3981億円、Non-GAAP営業利益は同27.6%増の3972億円、当期純利益は同54.3%増の2702億円、Non-GAAP当期利益は同24.0%増の2797億円となった。
NECの森田隆之社長兼CEOは、「国内ITサービスとANS(航空宇宙・防衛)が引き続き好調に推移しており、売上収益は、法人向けPCの販売機能の移管や、低収益ハードウェア事業の撤退などの影響を除いた実質ベースでは前年比9%増となっている。また、Non-GAAP営業利益率は11.1%となり、初めて2桁に到達。2期連続で最高益を更新した。ITサービス、社会インフラの両セグメントで増収増益となった」と説明した。
セグメント別の業績
セグメント別業績は、ITサービスの売上収益が前年比2.0%増の2兆5089億円、調整後営業利益は前年から849億円増の3367億円。そのうち、国内ITサービスの売上収益が前年比1.9%増の2兆1755億円、調整後営業利益が前年から725億円増の3050億円。海外(DGDF=デジタル・ガバメント/デジタル・ファイナンス)の売上収益が前年比2.9%増の3335億円、調整後営業利益が前年から124億円増の317億円となった。
「国内ITサービスは、パブリックが牽引し、実質ベースでは前年比9%の増収となっている。BluStellarを中心とした収益性の向上、子会社での構造改革の効果により、大幅な増益になった。利益率は3ポイント改善している。海外では、欧州3社(NEC Software Solutions UK、KMD、Avaloq)での収益力改善により、アジアで発生した不採算コストの約50億円を吸収し、大幅な増益を達成した」という。
国内ITサービスのうち、BluStellarの売上収益は前年比30.0%増の7050億円、調整後営業利益は前年から358億円増の1020億円となり、売上比率は前年度の25%から32%に拡大している。また、ベース事業の売上収益が前年比7.7%減の1兆4704億円、調整後営業利益は前年から368億円増の2030億円となった。
「BluStellarでは、エンドトゥエンドで顧客課題を解決するシナリオビジネスが、データドリブン、モダナイゼーション領域を中心に順調に拡大している。期初の計画に対しても売上、利益とも大幅に上回っている。ベース事業は、低収益事業の撤退により減収となったが、収益性が大きく改善した」と述べた。
国内ITサービスの第4四半期における受注状況は、全体では前年同期比2%減。法人向けPCの販売機能の移管および低収益ライセンス案件などの特殊要因を除くと2%増となっている。
業種別受注状況は、パブリックが前年並。だが、高水準であった2024年度の受注規模を維持していると評価した。エンタープライズは同1%減だが、特殊要因を除くと2%増となる。エンタープライズのうち、金融が同5%増、製造が前年並、流通・サービスが7%減。また、子会社他では同4%減となったが、実質ベースでは2%増。そのうちアビームコンサルティングは11%増と大幅な伸びを見せている。
「DXを中心とした需要は引き続き堅調である。パブリックは、自治体システム標準化や消防防災案件の受注がピークアウトするなかで、中央省庁向けの大型案件を獲得した。エンタープライズは、第4四半期に金融分野を中心に順調に案件を獲得している。アビームコンサルティングも年間で12%増という高い水準となっている」と総括した。
社会インフラの売上収益は前年比12.4%増の9353億円、調整後営業利益は前年から139億円増の743億円。そのうち、テレコムサービスの売上高は前年比5.2%減の3905億円、調整後営業利益は前年から306億円減の200億円。ANS(Aerospace and National Security)の売上収益は前年比29.6%増の5448億円、調整後営業利益は前年から445億円増の544億円となった。ANSから海洋システムを除いた航空宇宙・防衛の売上収益は前年比27.4%増の4736億円、調整後営業利益は前年から312億円増の744億円となった。
「テレコムサービスは、基地局事業の見直しに伴い、徹底した資産クリーンアップを実施したことで減益になった。ANSは航空宇宙・防衛が牽引し、大幅な増収増益になっている。航空宇宙・防衛の受注額もさらに拡大しており、6000億円弱に達している。一方で、海洋システムは、2025年度も追加の工事費用を計上したが、赤字幅は縮小している。事業改革は着実に進展しており、今後は、2025年度に獲得した複数の大型案件が業績に寄与する」と述べた。
その他の売上収益は前年比5.3%増の1385億円、調整後営業利益は前年から12億円減のマイナス41億円の赤字となった。
低収益事業への取り組みについても説明した。
NECでは、2025年度を最終年度とする「2025中期経営計画」の期間中に、低収益事業としていたすべての事業の方向性を決定することを目標に掲げ、CFO主導でモニタリングを行ってきた。
今回の説明では、中期経営計画期間中の5年間で、14事業が管理対象から卒業し、残りの6事業についても、自主改善やカーブアウトによる見極めを行ったという。
森田社長兼CEOは、「計画通りに2025年度末まで、すべての低収益事業の方向性を決定した。事業ポートフォリオマネジメントは、次の段階に入る。以前からのハードルレートの設定による事業モニタリングに加えて、相対評価による業績評価の仕組みも新たに導入し、さらなる収益力強化を目指すことになる」と語った。
2026年度の通期業績見通し
2026年度(2026年4月~2027年3月)の通期業績見通しは、売上収益が前年比2.3%減の3兆5000億円、Non-GAAP営業利益は同5.7%増の4200億円、Non-GAAP当期利益は同1.9%増の2850億円とした。ROICは9.2%を見込む。
「CPUやメモリ、ストレージを含めて不透明なデリバリー状況や、価格高騰の影響があり、完成品は2カ月以上先が確約できない状況でもある。NECが作っているものについては、部材は5~6カ月先まで確保できているが、ホルムズ海峡の影響なども含めて不透明さは残る。これらの部材リスクやマクロ経済環境の不透明性を踏まえて、通期見通しにおいて、売上収益で1000億円、Non-GAAP営業利益で300億円のアローワンスを織り込んだ。ワーストケースでは売上収益で1000億円~1500億円のマイナスがある。だが、通常通りのサプライになれば、アローワンスとして織り込んだ部分が積み上がってくる。また、夏にかけて工場の稼働率が見えてくると、リスク部分を解放し、売上収益および利益の積み上げができるようになる」とし、「期末予想は、今後の事業進捗を踏まえて適宜見直しを図る」と述べた。
また、アローワンスのうち、売上収益の1000億円は国内ITサービス、Non-GAAP営業利益の300億円は調整額に含めている。なお、2026年度に買収を予定しているCSG Systemsの業績は通期見通しには織り込んでいない。
セグメント別業績見通しは、ITサービスの売上収益が前年比4.9%減の2兆3850億円、Non-GAAP営業利益は142億円増の3500億円。そのうち、国内ITサービスの売上収益が前年比6.5%減の2兆350億円、Non-GAAP営業利益が98億円増の3120億円。海外(DGDF)の売上収益が前年比5.0%増の3500億円、Non-GAAP営業利益が43億円増の380億円とした。
「パブリック領域では、自治体システム標準化や、消防防災案件のピークアウトの影響で1000億円、部材リスクとマクロ経済リスクを考慮して1000億円の影響を織り込み、減収の計画としている」としながらも、「着実に受注を積み上げ、減収の影響を極小化していく考えである。BluStellarのさらなる拡大により、収益性を改善し、増益を目指す。国内ITサービスの利益率は15.3%を計画している。パブリックでも500億円規模の受注残高がある。海外では、継続的な収益性改善に取り組むとともに、2025年度に発生した不採算案件の抑制することで増益を目指す」とした。
国内ITサービスのうち、BluStellarの売上収益は前年比19.1%増の8400億円、Non-GAAP営業利益は前年から410億円増の1430億円となり、売上比率は42%にまで高める。ベース事業の売上収益は前年比18.7%減の1兆1950億円、Non-GAAP営業利益は前年から311億円減の1690億円とした。
「BluStellarは、2030年度に1兆3000億円、営業利益率25%の目標を発表した。計画達成に向け、AIを活用したさらなるシナリオ拡大、採算性改善に継続的に取り組む」と意欲を見せた。
社会インフラの売上収益は前年比4.2%増の9750億円、Non-GAAP営業利益は436億円増の1270億円。そのうち、テレコムサービスの売上収益は前年比9.1%減の3550億円、Non-GAAP営業利益は189億円増の480億円。ANSの売上収益は前年比13.8%増の6200億円、Non-GAAP営業利益は246億円増の790億円とした。また、航空宇宙・防衛の売上収益は前年比9.8%増の5200億円、Non-GAAP営業利益は26億円増の770億円としている。
「テレコムサービスでは、ネットワークインフラ事業の売上減少リスクを織り込んだ。だが、2025年度に実行した構造改革効果の刈り取りによって増益を計画している。ANSは、航空宇宙・防衛のさらなる拡大に加えて、海洋システムの黒字化により、増益を見込んでいる」という。
その他の売上収益は前年比1.1%増の1400億円、Non-GAAP営業利益は同15億円増のマイナス30億円の赤字の見通しとした
森田社長兼CEOは、質問に答える形で「SaaS is dead」の動きに言及。「NECにとっては、大きなフォローの風が吹くと考えている。マーケットが広がり、AIの社会実装が加速する。Anthropicとグローバルアライアンスを結んだ理由もそこにある。2026年度は、AIが社会に実装される時代に入る。未開の地であったインターネットの外におけるAIおよびDXの活用が始まる。ここでは、日本の企業が得意とするナレッジドメインも活用でき、日本の企業が活躍し、日本を元気にすることができる。NECは2022年に、AI開発のためのスーパーコンピュータに投資し、これを継続的に強化している。社内において、AIを実装し、クライアントゼロを加速するための投資をしていく。また、AIに関する人材教育に対しても投資も行っていくことになる」と述べた。









