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「汎用人工知能」目指すOpenAI Microsoftと提携

 Microsoftは、Elon Musk氏らが設立したOpenAIに10億ドルを出資すると発表した。OpenAIはAIの非営利研究企業で、両社はMicrosoftのクラウドコンピューティングの力を合わせて「汎用人工知能」(AGI)を構築。AIのスーパーコンピューターを目指すという。一方、「利益よりも人類全体のため」を理念に設立されたOpenAIの最近の動きに、“変節”を疑う声も出ている。

Microsoftの10億ドル出資

 OpenAIは2015年設立。Musk氏とスタートアップアクセラレーターY Combinatorの社長だったSam Altman氏が10億ドルを出資して立ち上げた非営利企業だ。ほかに、LinkedInの共同創業者Reid Hoffman氏やPayPal共同創業者のPeter Thiel氏ら、シリコンバレーの有名人が創設メンバーに名を連ねている。

 OpenAIは最先端のAI開発を進めながら、同時に公共的な使命を負う非営利企業で、「全ての人類に汎用人工知能の恩恵を保証する」と「OpenAI憲章」にうたっている。汎用人工知能とは、特定の業務やタスクに特化した「特定型人工知能」に対して「人間のように十分に広範な適用範囲と強力な汎化能力を持つ人工知能」を言う。いわゆる「強いAI」だ。

 7月22日の両社の発表では、提携内容を以下のように説明している。

  • MicrosoftとOpenAIは共同で新しいAzure AIスーパーコンピューティング技術を構築する
  • OpenAIは、構築したサービスをMicrosoft Azure上で実行するように移植。汎用人口知能を実現する
  • Microsoftは、新しいAI技術を商品化するためのOpenAIの優先パートナーになる

 これに伴い、Microsoftは今後5年で計10億ドルを出資する。汎用人工知能は現時点では存在しないが、実現すれば急速に進化していくとみられ、気候変動、医療、教育など、世界が直面する難しい課題の解決に役立つと期待されている。

 OpenAIのCEOを務めているAltman氏は「AGIの構築は、人類史上最も重要な技術開発となるだろう」「(両社は)スーパーコンピューティングの基盤を構築し、その基盤上でAGIを開発する予定」と述べている。