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「汎用人工知能」目指すOpenAI Microsoftと提携

開発には莫大な資金が必要

 OpenAIは今年3月11日、営利企業の子会社OpenAI LPの設立を発表している。公式ブログでは「われわれの使命を実現するチェック&バランスを含みながら、コンピューティングと人材への投資を急増させる“上限付き利益”の会社」と説明している。一方、元のOpenAIは「OpenAI Inc」(通称:OpenAI Nonprofit)として引き続き非営利の活動を担うという。

 上限付き利益とは、出資者と従業員に対して「最初の投資の100倍の利益を上限に還元し、超過分は非営利活動に活用する」というものだ。Microsoftは最大で、10億ドルの100倍の1000億ドルから従業員の分配を差し引いた分を利益として受け取りうる計算になる。それ以上の利益は、OpenAI Nonprofitに行く。

 AGIの開発には「大量のデータや高価なコンピューティングパワー」、つまり莫大な資金を要する。コンピューティングパワーでは例えば、Dota 2でアマチュアの人間チームに勝利した際は、「256GPUと12万8000CPUコアで実行される環境でトレーニングした」と説明している。

 また、最高の才能も必要だ。2018年4月のNew York Timesによると、Googleから移籍したOpenAIのトップ研究者、Ilya Sutskever氏の2016年の報酬は190万ドル超。Googleから来た別の研究者の報酬は80万ドル超だったという。

 IGAの実現に向け、大規模な資金調達を行うのがOpenAI LPの役目だ。発表では「数十億ドルの資金調達と投資を計画している」としており、Microsoftの出資は、その最初の例ということだろう。「優先パートナー」という関係は、Microsoftにとっても頼もしいものになりそうだ。

 もっとも、汎用人工知能の実現には、多くの研究者が懐疑的だ。どんな成果が生まれるのか、Microsoftがライバルに先駆けてIGAを活用したサービスを実現できるのかは、まだ分からない。