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100億ドルの契約は7月に決定か ペンタゴンのクラウド「JEDI」

単一ベンダー方式への反発、調達プロセスの疑義

 JEDIの最初の契約期間は2年だが、3回の延長をへて最長10年間続く。その額は計100億ドル(約1兆1000億円)に達する。業界からは「単一ベンダーはロックインを招き、健全な発展を妨げる。複数ベンダーにすべき」との批判が噴出した。

 さらに、DoDが昨年3月から出したベンダーへの提案依頼書「RFP」で、非常に厳しい要件が明らかになった。例えば、「クラウド事業で年間20億ドル以上の売上があること」や「最高度のセキュリティ基準に対応すること」などで、トップベンダーでないと受注不可能。少なくとも、その時点で要件を満たせるベンダーはAmazonだけだと言われた。

 OracleやIBM、MicrosoftなどAmazon以外のベンダーは見直しを求めるロビー活動を展開し、異議申し立てを連発したが、その中でDoD職員の不正疑惑が浮上した。Amazonと関係が深く、ペンタゴンのIT計画にかかわっていた人物が同社に有利になるよう働いたというもので、昨年12月、Oracleが連邦裁判所に訴えて、調達プロセスは中断している。

 この人物、Deap Ubhi氏は、ペンタゴンのデジタルサービス部門「DDS」(Defense Digital Service)に2016年に雇用され、JEDI計画の早期段階にかかわったという。Ubhi氏は、その前にAWSで働いた経歴があり、2017年10月にDDSを退職して再入社している。また、在職中も自らを「Amazonian」と称するなど、“Amazon愛”を公言していたことも疑いを増幅した。

 この訴訟は継続中だが、DoD側は今年4月10日、1カ月以上にわたる内部調査の結果、Ubhi氏が調達プロセスをゆがめた事実はないことを確認したと発表した。詳細は法廷で明らかにする予定で、これで訴訟手続きが一段落する7月半ばにベンダーを決定する意向だ。

 合わせて、要件を満たせるベンダーはAmazonとMicrosoftの2社だけだったとも発表した。OracleやIBMはこれで脱落となる。