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IBMのクラウド戦略にチャンスか インド首位のモバイルキャリアと大型契約
2019年5月13日 10:46
IBMが、インドのモバイル通信事業者トップのVodafone Idea(VIL)とクラウドのアウトソーシング契約を結んだ。額は非公表だが、700億から800億ドル規模と伝えられている。クラウド市場でトップグループに後れを取っているIBMは、ハイブリッドクラウドを軸に打って出ようとしている。インドの契約は反転攻勢のチャンスになるかもしれないという。
ユーザー4億の携帯事業者からクラウド契約
「IBMのハイブリッド及びマルチクラウドの分析機能やAIセキュリティ機能が、Vodafone Ideaのオープンで迅速かつセキュアなIT環境を加速する。さらには、AIとIoTにおける共同イニシアチブを進めるプラットフォームを提供する」。両社は5月3日、このように述べ、クラウドで5年間のアウトソーシング契約を結んだことを発表した。
Vodafone Ideaは、インドの携帯電話事業者で2位のVodafone Indiaと、3位の Idea Cellularが合併して昨年8月に誕生した。契約者数は2018年12月で3億8700万超。国内シェアは約35%に達し、それまで首位だったBharti Airtelを抜いてトップに躍り出た。
Vodafone Ideaは合併後、システムの統合と強化を進めている。今月初め、Ericssonの「Cloud Packet Core」を採用して、コアネットワークを強化すると発表。その前の3月には、Nokiaの「Massive MIMO」などの通信機器を導入する複数年の契約を結んでいる。
同社は5Gへの移行をにらみながらデータ通信の大容量化を進め、設備を更新するという課題を抱えており、「世界最大の通信ネットワーク統合をインドで行っている」(CTOのVishant Vora氏)という。
そんな中で、IBMはサービス運用のシステムを担当し、「データセンター、災害復旧センターなどのアプリケーションとインフラを統合。導入済みソリューションを統合して、ビッグデータ機能を強化する」という。以前からVodafone、Ideaそれぞれとアウトソーシング契約を結んでいたが、期間満了と合併を受けて、クラウド契約で刷新した。