Infostand海外ITトピックス

AppleとQualcommが一転和解 勝者と敗者は?

 知的財産などを巡って対立関係にあったAppleとQualcommが突然の和解を発表した。両社は係争中のものを含む全ての訴訟を取り下げる。AppleはQualcommに対して和解金を支払うとともに、特許ライセンス契約を結ぶ。またAppleはQualcommからチップセットの供給を受ける。メディアは、この和解で、誰が勝って誰が負けたのかを、推し量っている。

2年越しの訴訟合戦が急転直下和解に

 4月16日の両社のプレスリリースによると、グローバルレベルで6年間(2年の延長も可能)の特許ライセンス契約を締結。またAppleがQualcommから複数年にわたってチップセットの供給を受ける契約も結んだ。和解金の額は開示しておらず、詳細については明らかになっていない部分もある。

 両社の争いは2年前に始まった。Appleは2017年1月にQualcommの特許ライセンス料が不当に高いとして提訴。支払いを停止するとともに、Foxconnなど自社と契約する製造委託業社にも、Qualcommに特許ライセンス料を支払わないように求めた。

 対するQualcomm側も、ライセンス料金の未払いを不当として反訴。同社はAppleが特許ライセンス料を払っていないという主張を中国やドイツなどでも展開し、Appleの一部製品はこれらの国で販売禁止になった。

 Apple側は2018年、Qualcommのモデムチップの採用を停止し、調達先をIntelに変更している。

 一方、2017年にはFTC(連邦取引委員会)が反トラスト法(独禁法)違反でQualcommを提訴している。携帯電話分野チップで支配的なポジションにある同社は、過去にも中国や韓国などの独禁法当局の調査を受け、罰金支払いなどを命じられている。米国でもAppleとの紛争と並行して調査が進み、今年1月に審理が始まったところだ。

 両社の和解は、そんな中で発表されたもので、カリフォルニア州サンディエゴで両社の特許訴訟の審理が始まった翌日だった。