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目指すは「気軽にビジネスができるクラウド事業者」 Kurian氏のGoogle Cloud

 Google Cloudが、新CEOのThomas Kurian氏の下で新たな攻勢をかけようとしている。法人向け事業でAWSやMicrosoftに大きく水をあけられているGoogleだが、検索やコンシューマー向けサービスではなく、大企業を顧客とするビジネスで成功できるのか? 4月9日から開催された年次イベント「Google Cloud Next 2019」では、その取り組みが見えてきた。

「Write Once, Run Anywhere」を今度こそ

 「(Google Cloudは)最も気軽にビジネスができるクラウドプロバイダーになりたい」。Diane Greene氏からバトンを引き継いで初のGoogle Cloud Nextで、Kurian氏はこう宣言した。2018年にOracleを退社してGoogleに移った同氏は、ビジネスを熟知したリーダーとして期待を集めている。

 3日間のGoogle Cloud Nextの会期中には、ハイブリッドとマルチクラウドの管理「Anthos」、サーバーレスの「Cloud Run」、オープンソース企業との提携によるマネージドサービス、AIではドキュメントから洞察を得る「Document Understanding AI」(ベータ)や小売り向けAIなど多くの製品・サービスが発表された。

 Anthosは、昨年発表した「Cloud Services Platform」をベースにブランド化したもので、その名は「花」を意味する。Google Cloud Platform(GCP)上のコンテナアプリケーションの実装環境「Google Kubernetes Engine(GKE)」およびオンプレミスのGKE(GKE On-Prem)に加え、AWSとMicrosoft Azureもサポートしたのが特徴だ。

 合わせて、仮想マシンをコンテナに変換するクラウド移行ツールの「Anthos Migrate」などの関連サービスも用意した。これらによって、アプリケーションの「Write Once, Run Anywhere(一度書けばどこでも動く)」を実現するという。

 「Write Once……」はJavaのスローガンとして有名だが、長年の開発者の夢でもある。GeekWireは「技術企業が数世代にわたって約束してきたが、実現には、ほど遠かった」と皮肉りながら、「その目標を達成するという点で、Kubernetesはおそらくこれまでで一番近いところにいる」と評価している。