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目指すは「気軽にビジネスができるクラウド事業者」 Kurian氏のGoogle Cloud

オープンソース企業を味方に

 最も目を引いたのはAnthosだが、裏の主役はオープンソース技術を提供する企業との戦略的提携だろう。これは一つのメッセージ、すなわち「Googleはオープンソース企業の味方である」という姿勢を表明したものだ。背景にあるのは、2018年に浮上した、AWSと一部オープンソース企業の対立の構図だ。

 AWSはオープンソース技術をマネージドサービスとして提供して収益を得ながら、コミュニティに還元していないとの不満がオープンソース側から噴き出した。インメモリデータベース「Redis」のRedis Labs、NoSQLデータベースの「MongoDB」を開発するMongoDB、「Apache Kafka」ベースのストリーミングプラットフォームを提供するConfluentなどが、このためライセンスを変更している。

 今回の発表でGoogleはオープンソース企業7社と提携し、各社のオープンソース技術をGCP上でマネージドサービスとして提供できるようにする。Google Cloudの管理画面から利用でき、課金やサポートなどもGoogle Cloudに集約される。7社の中にはRedis、MongoDB、Confluentの3社が含まれており、AWSに不満を持つ企業を取り込んだと言える。

 Kurian氏はイベントで「最近、オープンソースコミュニティは、クラウド事業者が自分たちと提携するのではなく、オープンソースをマネタイズする力を奪おうとしていることに気付いた」と切り出し、「われわれGoogleは、それは、顧客、開発者コミュニティ、さらにはソフトウェアイノベーションにとって良いことだとは思わない」と述べた。

 Kurian氏に招かれステージに立ったRedis LabsのCEO、Ofer Bengal氏は「オープンソースのマネタイズは、オープンソースベンダーにとって常に大きな課題だった。それがクラウド時代になってさらに難しくなった」と語った。SDX Centralによると、「Googleは他のクラウドベンダーとは異なるアプローチをとっている。これはオープンソースコミュニティにとって良い知らせだと思う」とBengal氏は述べている。