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自動車製造現場に入るクラウド 産業IoTを狙うMicrosoftとAWS

 自動車業界でクラウド関連のニュースが相次いだ。フォーカスされているのは製造や物流での産業IoTの構築で、自動車向けネットワークサービスの「コネクテッドカー」とは別の形で大規模なクラウド利用を図るものだ。Volkswagen GroupとBMW GroupはそれぞれAmazon、Microsoftをパートナーに選んだ。その戦略には、標準確立に向けた覇権争いも透けて見える。

IoTクラウド構築でVolkswagenがAWSを採用

 Volkswagenは3月27日、AWSと組んで、「Volkswagen Industrial Cloud」を構築すると発表した。Volkswagenが世界に持つ122の施設を接続し、マシン、工場、システムなどのデータを収集する産業IoTで、最終的には同社のサプライヤーやパートナー企業1500以上が持つ3万以上の拠点も統合する巨大なものになるという。

 目指すのは生産現場の効率化だ。Volkswagenは自動車やトラックなど12のブランドを持つ大手で、工場の生産性を大きく改善することを狙う。プレスリリースでは「生産と物流でシームレスなデジタル化の基盤を構築する」としており、例としてプロダクションプランニング、在庫管理などを挙げている。これらの作業は、これまで各工場が独自に行っていたという。新しいデジタル製造プラットフォームは、産業IoTに加え、セキュリティ、分析などの機能を中核として含む。

 AWSを選択した理由として、VolkswagenはAWSのコンピューティング、IoT、機械学習などのサービスを挙げている。詳細に報じた業界メディアAutomotive ITによると、「Amazon S3」「AWS IoT Greengrass」「AWS IoT Core」「AWS IoT Analytics」「AWS IoT SiteWise」などのIoT関連クラウドサービスに加え、機械学習モデルの構築とトレーニングができる「Amazon SageMaker」、そして物理環境でAWSサービスを利用できる「AWS Outposts」なども利用するようだ。

 これらを利用することで、同社は2020年に年500万台を製造できる体制を目指しているとZDNetは報じている。

 Volkswagenによると、Volkswagen Industrial Cloudはオープンな産業プラットフォームで、産業、物流、営業など他のパートナーにも将来活用できるようにするという。以前から関係があり、産業IoT技術を持つSiemensも参加している。

 なお、Volkswagenはクラウドでは既にMicrosoft Azureと提携しているが、こちらはコネクテッドカーのサービス向けで、製造現場向けとは別の内容となる。