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中国のAIベンチャーが米国を抜いた AI覇権国家の夢は実現するか?

「顔認識」「AIチップ」がけん引

 レポートによると、中国の顔認識ベンチャーへの投資(公表額)は、2016年の11件2億6300万ドルから、2017年には41件16億4000万ドルへと急増した。注目企業として、Megvii、SenseTime、CloudWalk Technologyの3社を挙げている。MegviiとSenseTimeはともにユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える非上場のベンチャー)であり、CloudWalkは2016年に広州市政府からAI画像センター設立のため20億元(3億100万ドル、約330億円)の出資を受けたことで知られる。

 顔認識技術の進展は、中国当局の大規模監視ネットワークの計画とも関係している。「Xue Liang」(英語でSharp Eyes)と呼ばれるプロジェクトは、道路や繁華街などあらゆる場所に監視カメラを設置し、顔認識などのAI技術やビッグデータ解析で手配者や不審者を見つけ出す巨大な監視プラットフォームを目指している。既に2017年に55都市で展開されているという。

 顔認識のベンチャーは、こうした国のプロジェクトに後押しされており、資金も含むさまざまなサポートの恩恵を受けている。同時にAI関連の民間サービスも発展しており、例えば、Alibabaグループは昨年、顔をスキャンするだけで支払いが完了する顔決済サービスをファストフード店に導入した。

 また、もうひとつの主要分野AIチップは、米国が支配的な市場への挑戦だ。ディープラーニングで脚光を浴びたGPUでは現在、NVIDIAがトップだが、同社のチップの20倍のパフォーマンスを持ち、エネルギー効率に優れたチップを開発する政府主導プロジェクトもあるという。企業も昨年、Huaweiが初のAIチップ「Kirin 970」を発表して存在感を示した。

 いま、中国は政府と企業が一丸となってAIの夢を推し進めている。