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中国のAIベンチャーが米国を抜いた AI覇権国家の夢は実現するか?

 中国のAIベンチャーへの投資額が2017年、初めて米国を抜いて世界トップになった。世界のAIベンチャー投資の半分が中国企業につぎ込まれた計算になるという。中国は「イノベーションの国」になるとして、強力なテクノロジー政策を展開中だ。目指すのはAIで世界の覇権を握ることだが、その野望は実現するのか――。現状を概観する。

AIベンチャー投資額で米国を逆転

 未公開企業データベースのCB Insightsは、2月に発表した予測レポートで、「中国が世界のAIリーダーシップで米国と競う」と取り上げた。2018年のAIトレンドを探った13項目のうちのひとつだ。

 それによると、2017年のAIスタートアップ企業の資金調達額(ドルベース)は152億ドル。その48%を中国企業が占め、2位の米国企業(38%)を大きく引き離してトップに立った。前年2016年の中国の比率は11.3%に過ぎなかったというから、すさまじい伸長ぶりだ。その他の国すべてを合わせても13%に過ぎず、両国で世界を圧倒している。

 出資元をみると、中国企業に出資した米国資本が前年の4倍と急増。同時に米国企業への中国資本の出資額も6割増となっており、資金が相互に国境を越えていることもわかる。

 またAI関連特許も中国の躍進は目覚ましい。USPTO(米特許商標庁)の2017年の特許をキーワード検索すると、「ディープラーニング」の中国企業の件数は652件で米国企業の6倍。「AI」では641件で約5倍にのぼったという。

 一方で、中国のAIベンチャーへの「投資件数」の割合は9%に過ぎず、1件あたりの額が大きいことがわかる。中国には3大ネット企業BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)に続く強力なベンチャーたちが生まれているということだ。その主要分野は「顔認識」と「AIチップ」だという。